79*少女と白獣……?2 ページ29
「……何人がかりで一人の女の子いじめてんだよ?
それでも男か? あんたら」
この子の代わりに相手してやろうか?となるべく低い声で聞いてみれば、警察相手に分が悪いと踏んだのか。
覚えてやがれともう古臭い台詞を使い回されて去って行った。
「……ったく。いちいち覚えてられるほど頭の造りが良くないってのー」
そして、女の子の方を振り返ったあたしにとんでもないことが起こる。
「私の花婿見つけたアル!!
早く帰って銀ちゃんに紹介するネ!」
「……えっ? ……ちょぉぉおおお!!」
……アル!?
……ネ!?
なにこの胡散臭い中国訛りは!!
あたしの顔を見るなり、透ける程の白い手にあたしの手を取られて青い瞳をキラキラさせる。
チャイナッ娘の典型的な両サイドのお団子を覆う黒と黄色の髪飾り。
あたしの手を取る手と逆の方には紫色の番傘を持っていた。
そんなパニックになるあたしの思考は完全スルーで手を引いていくチャイナちゃん。
そりゃあ、手がめちゃくちゃ痛かった。
女の子の力じゃないよ、これ……
ってか銀ちゃんって誰よォォォオオ
どっかで聞いたこと…………無いか!
無い……よね!?
「走るより定春に乗った方が速いネ!」
そんなことで、またもや手を引っ張られ。
身体と腕がバラバラになるのではないかと真剣に焦るほどのパワーだった。
そしてどうやら定春と言うらしい犬か獣か分からない生物の背中に乗せられる。
ってか定春って、どんだけ古風な名前なの!?
ペットに定春って!!
鈴木家の犬に山田って名前付けた友達しか
知らないよォォオオオ!
『鈴木山田』ってもうどっかの漫才コンビみたいな名前の犬しか知らないんだけどォォオオオ
論点ズレズレの話を展開するあたしには頭が回っていたかった。
これからどこへ行くのか……
そして……
「アイツどこ行きやがったァァア!!」
土方さんの存在をすっかり
忘れていたことも…────────
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作者名:モコ | 作成日時:2016年3月26日 21時