７１＊妖刀編その後13 ページ21
「……土方さん……？」
あたしから顔を背けるような形で机に突っ伏していた土方さんに声を掛けてみるも。
今回は、どうやら本当に眠ってしまったよう。
机の隅に避けられていた書類の山。
あれから減ったのだろうか？
むしろ湧き出ているようにさえ思える……。
「……よくこんなに文字とにらめっこできるなぁー……」
その山の一枚を見てみると、とんでもなく細かい字で何やらビッシリ書かれていた。
後も見てみたが、同じようなものだった。
ほとんど毎日……
それこそ非番の日だって土方さんは私室にこもりっぱなしだ。
何をしてるのかと覗いてみれば、やっぱり書類とにらめっこ。
それは土方さん自らが望んでやっていることなのだろうが……。
何でもかんでも隊士からの書類の確認を片っ端から引き受けては溜め込んで。
溜め込んではこもりきって。
こもりきっては、にらめっこ。
土方さんが居なければ、とっくにここは潰れてしまうだろう。
それだけ大切な役割を担っている土方さん。
更には書類だけでなく、部隊では常に最前線を張っている。
真選組の頭脳とだけあり、戦いの戦略でも心身共に労力を費やす。
あたしは、きっと……
どれほどまでに大人になってもこの人と互角に仕事なんて出来ないと思う。
土方さんの場合、上司も部下も難有りのため自分がしっかりしなくては。と自分を縛り付けているのだろうが。
「……あんまり無茶……しないでくださいね」
もう一度、同じようなことを呟いて。
かけてもらっていた羽織りを次は土方さんにそっとかける。
それからあたしは徐に……
書類の山へと手をつけた…───────
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作者名：モコ | 作成日時：2016年3月26日 21時
