52*妖刀編29 ページ2
「……てめえだけのせいじゃねえだろ」
渋面を作る土方と。
「……オレ達も、ちょいと油断し過ぎてやした」
珍しく?素直に非を認めた沖田くんと。
「パトカー発車準備出来ましたぁあ!!」
「……ザッキーっ!」
土方との電話時点で練っていた作戦通りに駆け付けたジミー君の姿。
オレの肩越しから顔を覗かせて、走ってくるジミー君を見つけたらしいAが少し嬉しそうな顔をして名前を呼んだ。
えらく懐いているらしい様子にオレは面白くなくて、Aを下ろすことはせず。
「万事屋。てめえに頼み事はしたくねえが……。
ソイツを屯所まで頼むわ」
「言われなくても」
「……っでも!!
土方さん、あたしは大丈夫……」
「抱かれてなきゃ歩くことも出来ねえお人はお荷物でさァ、Aさん?」
「そういうことだ」
沖田くんと土方、二人の言葉に反論出来ないことは事実だと認めざるを得ないことはA自身がよく分かっていたから。
悔しげにぐっと唇を噛んでいた。
「……アイツらも心配してんだよ」
「……分かってる……けど、やっぱり悔しい……」
ジミー君の運転するパトカーに乗車して走り出してもAはずっと後ろを見つめていた。
「後は任せておけって、な?」
一番隊を招集してあの場に襲撃したから後は本当に心配ないだろう。
現に剣の腕前は真選組ツートップを張っている沖田くんと土方がいるのだから。
そう言っても、きっとAの心の靄が晴れることは無いだろうが。
そして、やっと向き直ったと思ったら……。
「いっ、たたたたた!!!
ザッキー、車停めてっっ!!
今すぐにーっ!!」
「ええええええっ!?
はははいっ……!!」
Aの大声に驚いたのはジミー君だけでなく。
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作者名:モコ | 作成日時:2016年3月26日 21時