51*妖刀編28 ページ1
「五つ数えるまで待ってやりまさァ」
その後は派手にバズーカをぶっ放す気のようで。
沖田くんはバズーカを構えた。
そして……
「いーち」
の、直後にまさかの敵陣へバズーカ発射。
「って、オイィィィイイ!!!
未だ一つしか数えてねえじゃねえか総悟ォォォオオオ!!!」
「男は一だけ覚えとけば生きていけるって松平のとっつぁんが言ってやしたぜ?」
「なら、わざわざ五つまで数えんなやァァアア!!
Aに当たったらどーすんだ!!」
「大丈夫でさァ、土方さん。
オレは昔スナイパーというアダ名で呼ばれていたらいいのになぁ」
「ただの願望じゃねえかァァアア!!」
と、いつものくだりを緊張感も無く披露し始めた真選組二人を置いて、いいとこ取りを企んだオレはバズーカ発射の煙に紛れAのもとへ。
座り込む体制をとっていたAの姿を思い返し、身を屈めて探すと案外すぐに見つけることが出来た。
「A。大丈夫か?」
どうやら立てないようで、本人からしては不服かも知れないが横抱きにしてその場を離れる。
「……銀……時……!?」
驚いたように懐かしい声で名前を呼ばれ、大きな瞳が更に大きく見開かれそこに映る自分の顔。
鈴を転がしたような心地良い声が耳に滑り込む。
「……どうして……!?」
「まー、何やかんやあってさ?
真選組から仕事依頼されたっていうか?」
詳しい話は後でな、と質問される前に付け加え。
今更、自分の身の危険さを実感したのか小さく震え出すAの身体。
少しでも落ち着かせてやれたらと自分とは全く違う質のサラサラとした真っ直ぐな髪を梳いてやる。
「……っごめん……」
オレの着流しを掴んで、譫言のように謝り続けるA。
それはあの二人に向けたもののように思えた。
Aを二人の元へ運ぶと……
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作者名:モコ | 作成日時:2016年3月26日 21時