468*ミツバ編54 ページ18
隣に並ぶ銀時に話し掛けるもなぜか彼からの返答が無く、慌てて隣を見上げた。
朝焼け色の瞳は、ぼんやり宙を彷徨った後にあたしを捕らえてしっかりと見据えられた。
「やっぱ何か関係あるだろ?」
「えっ……なに、が……?」
「解毒剤と、あの黒ぇ羽だよ」
「……っ、!」
「医者は騙せてもよォ、オレは簡単には騙せねぇぜ?」
どこまでも透き通るその紅い瞳に全てを語れたら……
一瞬、そんな甘えが過るけれど一つ頭を振ってあたしは再び口を開いた。
「……ふふ。
銀時ってば考え過ぎだって?」
「けどよォ、」
「あれじゃない?
偶然窓開けた時とかにカラスの羽でも入ったんだって」
強くなった気など到底しない。
だけど、あたしにはあたしのやるべきことを遂げなくてはいけないとようやく覚悟を決め始めれそうだ。
それは銀時、小太郎、晋助、真選組の皆や歌舞伎町の皆の沢山の人との出会いと再会で少しずつ前に踏み出せた。
亡き松陽への餞として、虚を必ずやこの手で討ち取る。
これこそがあたしの生涯を懸けても遂げるべきこと。
そしてその道のりは…───────────────
「本当に、それでいいのか……A」
決して誰にも頼ることなくやり遂げるべきことなのだ。
「はは……。
それでいいって何さ、銀時ってば?」
だから……何があっても大切な仲間を巻き込む訳にはいかない。
松陽と虚の全てを知ってしまったあたし一人だけで……やらなくては。
「……いや、なんでもねぇ。
忘れてくれや」
先に歩き出した銀時の背中を、あたしは立ち止まったままボケっと見つめていた。
気怠げに歩く後ろ姿は、あたしが頼らなかったことを少しだけ寂しく思ったように見えて……。
「……って、それはただの妄想が過ぎるって話かー……」
「……んぁ?
なんか言ったか、A」
「え?
あ、ううん!
なんでもない……っ!」
思わず溢れていた独り言を搔き消すように少々早歩きで銀時の隣へ並びながら……
“次に会う時はその目に……
私の姿を映すことになるであろう”
あたしはあの言葉を反芻し、銀時には決して気付かれないように虚への復讐心を静かに滾らせていた…────────────────
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モコ(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます! 嬉しいお言葉をいただき執筆の活力になります(*^^*) 拙い作品ではございますが、これからも更新していきますのでよろしければご覧ください♪ (2023年2月14日 23時) (レス) @page7 id: 2d549f905e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 面白いです!続き待ってます! (2023年1月14日 18時) (レス) @page7 id: 74e925d2a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モコ | 作成日時:2022年9月1日 21時