463*ミツバ編49 ページ13
しかし……どうやら祈りはどこへも通じなかったようだ……。
「まさか……このような形で渇望していた探し物と再会するとは」
不安のあまり、目をぎゅっと瞑ったその時……。
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
それは絶対的な服従を強いられるような低い声。
聞くだけであたしは……情けなくも身が竦んで動けなくなってしまうのだ。
哀しいほどに、あたしの大好きだった“先生”に とてもよく似た声なのに……
言葉遣いや声色の違いでここまで嫌悪感を抱くなんて……。
もう二度と聞きたくもなかった声から逃れるように視界が利かない中で耳を塞ごうとしたけれど。
どうしてか頭の奥底へと “あの声” は響き渡る。
「次に会う時はその目に……
私の姿を映すことになるであろう」
この声の主は、そう……
─────────────… “ 虚 ” だ。
それきり虚の声が聞こえてくることはなかったが……。
一方の現実世界では、一羽の黒い鴉が……
あたしの元へと魔の手を伸ばしていたことなど知る由も
ない…───────────────────────
*
「……ん、?」
──────────────…どこからか眩しい光が瞼を刺激して目が開いた。
視界が真っ白に埋まり、鼻先を薬の匂いが掠めていった。
……ここ……病院……?
と、寝惚けた頭が次第に思考を働かせていく。
「っ!
おい、A……!」
「気付いたかっ……!」
「やれやれ。
どんだけ寝やがるつもりですかィ、Aさん」
「……ぎん、ときに……ひじかたさん……それに、おきた……?」
あれ……?
あたし……今までどうしてたんだっけ?
「……いや、まじで焦らせんなっての。
銀さんこの先長くねーんだからな?」
「なら今すぐとっととくだばりがれ、本望だこの腐れ天パめ」
「オイ、聞き捨てならねえなニコチンマヨ野郎!!
テメェだけにゃ言われたかないね!!」
「ああ?
んだとゴラァ!!」
……思い出そうとしてるってのに相変わらずだな、この二人……
「やめやせんかィ、お二人とも。
目ェ覚ましたばっかのAさんの前ですぜ?」
「……、」
「……ッチ、」
「……お、おきたぁ……!」
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モコ(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます! 嬉しいお言葉をいただき執筆の活力になります(*^^*) 拙い作品ではございますが、これからも更新していきますのでよろしければご覧ください♪ (2023年2月14日 23時) (レス) @page7 id: 2d549f905e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 面白いです!続き待ってます! (2023年1月14日 18時) (レス) @page7 id: 74e925d2a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モコ | 作成日時:2022年9月1日 21時