とってもとっても ページ10
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「お前、吉原の人間か」
「だったら？」
「………いや、なんでもねェ」
一瞬難しい顔をした気がしたけど、何事もなかったかのように煙草を吸うから、わっちの気のせいなのだろう。
「はやく辻斬りを捕まえておくんなんし、じゃないと夜の散歩もゆっくりできん」
「女一人がこんな時間に出歩くの自体が危ないんだよ、わかったら帰れ」
「ぬしもそんなこと言うのか」
ふふふと声が溢れる。
鬼の副長と言われるぐらいだから、もっと厳しくて鬼のような人なのかと思っていた。でもやっぱり違うかったな。
「今日はおとなしく帰るでありんす」
柵から腰を起こして吉原に向け歩き出したとき、予想外のセリフが耳に届いた。
「俺も行く」
「あら」
口が悪くてぶっきらぼうだけど、きっと悪い人ではないんだろう。最初に聞いた声より優しく感じる。
「大丈夫じゃ、遊女一人の為に仕事の邪魔してはいけないでありんしょう」
「この後お前が斬られたら余計な仕事が増えんだよ」
そう言って隣で歩き始めた。わっちよりも背が高くて、足も長いのにわっちの歩幅に合わせてくれる。
歩くスピードも遅いだろうに何も言わずに付いてきてくれる。
「いつもこの時間に出歩いてんのか」
「たまにな、いつもは昼の方が多い」
「昼にしとけ、夜の歌舞伎町は危ない」
今は辻斬りも出てるしな、と。
真選組副長、頭も切れるし剣の腕も立つ、端正な顔立ち、おまけにレディーファーストもできる。
文句の付け所がないぐらい。
この人に愛される女性は、さぞ幸せでありんしょう。
「ぬしと会えてよかったでありんす」
「遊女の戯言なんて信じねェよ」
「本心じゃ」
そんな会話を挟みながら歩いていると、吉原の大門が見てきた。誰かと話しながら歩けば、近くない道も短く感じる。
「ここでよい」
「あぁ」
「わざわざありがとう、土方殿」
今宵はとってもとっても、いい思い出ができた。
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きょう - 鳳蝶さん» コメありがとうございます！嬉しくなるお言葉ばかり…（ ｉ _ ｉ ）これからより楽しんでいただけるようにゆっくりですが頑張っていきたいと思います！ (2020年8月7日 19時) (
レス) id: 2087fbb169 (このIDを非表示/違反報告)
鳳蝶(プロフ) - この小説大好きです！いつも更新楽しみにしてますっ。きょうさんのペースでこれからも頑張ってください！ (2020年8月3日 23時) (レス) id: 7170045398 (このIDを非表示/違反報告)
きょう - 一寸先はダークさん» 遅くなってごめんなさい！もうホントに嬉しいです（ ｉ _ ｉ ）ありがとうございます！書く度に文才くれってなるのでそんなに褒めてくださると嬉しいし元気出ます！これからも無理せず更新頑張ります…！ (2020年5月30日 23時) (レス) id: 2087fbb169 (このIDを非表示/違反報告)
一寸先はダーク - あ、あの、文才神ってません？？？文章の書き方好みドンピシャ何ですが。銀さんの振り回されてる感じも良いし、夢主のマイペースさも良いです！！これからも更新無理せず頑張って下さい！応援してます！ (2020年5月29日 7時) (レス) id: 771b180e53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょう | 作成日時：2020年5月5日 19時
