【銀魂】ひとりを愛した遊女の話

マヨネーズ ページ9

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それからというもの、空が濃紺色になるまで銀助と話していた。月詠が帰ってくると同時に銀助も帰って行った、が。





「難儀なもんじゃ」






最近ろくに客と喋ってなかったからだろう。そう思いつつ、あの人の背中がチラつくのはなんでだろう。




気分転換しようと、みんなが寝静まってから散歩がてらに歌舞伎町に来た。



久しぶりに渡ったこの橋からはあの日のように月がよく見える。





「何してんだ」






耳に入った低い声に後ろを振り向けば、黒い服に身を包み腰に刀を下げた男がいた。






「真選組の殿方もこんな時間に見廻とは大変でありんすなぁ」


「何してんだって聞いてんだよ」


「物騒な奴じゃな、散歩でありんす」


「最近辻斬りが出てんだ、早く帰りやがれ」


「まあまあそんなこと言わずに」






その男はポケットから煙草とマヨネーズ、ではなくライターを取り出して火をつけた。



煙草、マヨネーズ、隊長格の制服。
ああ、この人が。






「ぬしがおったら辻斬りが来ても大丈夫であろう」


「吐かせ」




橋の柵に腰掛ける。簪が風に揺れて綺麗な音が鳴った。

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