地獄 ページ33
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「隈、できてんぞ」
ぺたぺたと音を鳴らして、部屋のど真ん中にゆっくり腰を下ろした。
「寝不足なんじゃ、ぬしもまだ治ってないでありんしょう」
「何言ってんだよ、ピンピンしてら」
嘘つき。階段を登る足音が不規則だった。隠してるつもりなんだろうが、足を庇って歩いてるのがよくわかる。
「わざわざ会いに来てくれたんじゃな」
「だって何するかわかんねーだろ」
真っ直ぐな揺れない目。わっちの心の奥を見通してるような二つの目。
「安心しろ、わっちは死ねない」
「死にたいみたいな言い方だな」
「………あぁ、死にたいよ」
本当に全て見られてるみたい。どうしてわっちの“それ”は、バレたくない人に気付かれてしまうんだろう。
「自分で死ねないから、あの辻斬りに斬られるつもりじゃった」
ゆっくり、ゆっくりと四肢を地面について銀時に近づく。
その目にはどこまで見えるだろう。
真っ黒で汚いドロドロしたこの心がしっかりと写っているか。
「わっちはまたあいつの所へ行く、だからもう邪魔しないでくれ」
なんて女。命掛けで守ってくれた男に対して邪魔するな、なんて。
流石のぬしも、愛想尽かして顔を出してくれなくなるだろう。
それとも、お人好しのぬしはまたわっちの事を守ってくれるか?
「それが嫌なら、ぬしが斬ってくれ」
両手で銀時の頬を包む。
わっちは守ってほしいんじゃない。ただ救ってほしいだけ。
ぬしなら、わっちを殺すことなんて簡単にできるだろう?
「こんな生き地獄から救ってくれ」
銀時の瞳に映る自分は、泣いていた。
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きょう - 鳳蝶さん» コメありがとうございます!嬉しくなるお言葉ばかり…( i _ i )これからより楽しんでいただけるようにゆっくりですが頑張っていきたいと思います! (2020年8月7日 19時) (レス) id: 2087fbb169 (このIDを非表示/違反報告)
鳳蝶(プロフ) - この小説大好きです!いつも更新楽しみにしてますっ。きょうさんのペースでこれからも頑張ってください! (2020年8月3日 23時) (レス) id: 7170045398 (このIDを非表示/違反報告)
きょう - 一寸先はダークさん» 遅くなってごめんなさい!もうホントに嬉しいです( i _ i )ありがとうございます!書く度に文才くれってなるのでそんなに褒めてくださると嬉しいし元気出ます!これからも無理せず更新頑張ります…! (2020年5月30日 23時) (レス) id: 2087fbb169 (このIDを非表示/違反報告)
一寸先はダーク - あ、あの、文才神ってません???文章の書き方好みドンピシャ何ですが。銀さんの振り回されてる感じも良いし、夢主のマイペースさも良いです!!これからも更新無理せず頑張って下さい!応援してます! (2020年5月29日 7時) (レス) id: 771b180e53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょう | 作成日時:2020年5月5日 19時