悪趣味 ページ28
銀時side
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何が起こったのか、わからなかった。
目に入った赤が自分の血だと認識した時、右肩に激痛が走る。流れる血を左手で押さえ、奴との距離を取る為に後ろに下がった。
「おぉ、すごいこれを避けるのか」
瞬きと同時に奴が目の前にいた。油断してたのもあるけど、全く見えなかった。
あと少し避けるのが遅かったら、どうなってたことか。
「睡蓮、ここから逃げろ」
「ぬしを置いて逃げれるわけないじゃろ!」
「いいから早く行け!!」
息がしづらい。呼吸が深くなればなるほど、痛みが増していく。
「いいねぇいいねぇ、もっとやってよ」
「こちとらあいつ守るのに忙しいんだよ、テメーの悪趣味に付き合ってられっか」
「あらあら、悲しい事言ってくれる」
ぶしゅっと音がする。
「今度は完璧に見えなかったかな?」
奴が指を刺した方、足元を見れば血が吹き出した。左脚の力が入らなくなり地面に膝をつく。
こりゃ、ちょっとやばいかもな。
「安心しておくれ、お嬢さんもすぐに送ってあげるから」
痛みで視界が歪む。奴が近づいてきているのに、足が言う事を聞かない。
「1回目は失敗したけど、2回目は深かった。相当痛いだろう?」
奴が目の前で立ち止まる。
「楽にしてあげるよ」
刀を強く握ったのが見えた。その時。
「お前の狙いはわっちでありんしょう!?」
睡蓮が俺と奴の間に立ち塞がった。
「こいつは関係ない、殺すならわっちを殺せ」
さっきはあんなに、弱ってたのに刀を首に当てられてもびくともしてない。
「随分と気に入ってるんだね、その男のこと」
「だったら何じゃ」
「へぇ…そんな顔もできるんだ」
不思議と奴から殺気が消えて、刀を鞘に戻した。そしてそのまま、睡蓮の頬に手を添えた。
「強気な顔もかわいい」
「黙れ下衆が」
頬に添えられた手を払い除けると奴はまた不気味に笑い出す。
「嬉しいなぁ、お嬢さんがやっと生きてる人間を大切にできるようになって」
「やっぱりお前っ」
「お嬢さんが一番悲しむ方法で、その男を殺してあげるよ」
だから今日は見逃してあげる、そう言って路地裏の奥へゆっくりと沈んでいった。
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きょう - 鳳蝶さん» コメありがとうございます!嬉しくなるお言葉ばかり…( i _ i )これからより楽しんでいただけるようにゆっくりですが頑張っていきたいと思います! (2020年8月7日 19時) (レス) id: 2087fbb169 (このIDを非表示/違反報告)
鳳蝶(プロフ) - この小説大好きです!いつも更新楽しみにしてますっ。きょうさんのペースでこれからも頑張ってください! (2020年8月3日 23時) (レス) id: 7170045398 (このIDを非表示/違反報告)
きょう - 一寸先はダークさん» 遅くなってごめんなさい!もうホントに嬉しいです( i _ i )ありがとうございます!書く度に文才くれってなるのでそんなに褒めてくださると嬉しいし元気出ます!これからも無理せず更新頑張ります…! (2020年5月30日 23時) (レス) id: 2087fbb169 (このIDを非表示/違反報告)
一寸先はダーク - あ、あの、文才神ってません???文章の書き方好みドンピシャ何ですが。銀さんの振り回されてる感じも良いし、夢主のマイペースさも良いです!!これからも更新無理せず頑張って下さい!応援してます! (2020年5月29日 7時) (レス) id: 771b180e53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょう | 作成日時:2020年5月5日 19時