9.車内販売 ページ10
「A、そんなところに手を置いて大丈夫？ 」
「うん、もう慣れたから」
空いている個室を見つけて3人で座る。チャリティの鳥籠の側面を持っていると、チャーリーが心配そうに言ってきた。
「それは……」
ビルは見慣れない大きなふくろうじっと見る。
「アメリカワシミミズクのチャリティ。ここを持って大丈夫になるのはちょっと大変だったけどね」
「アメリカワシミミズクか、いかすな」
チャリティは目を覚ますと、鳥籠の中に入り込んだAの指に頭を擦り付ける。
Aはニヤっとしてチャーリーを見た。チャーリーは片眉を上げて笑う。
「体重も戻ったし、私の部屋の中を飛び回ったから元気だよ」
「部屋を？ 」
「お陰で入学までリビングのソファで寝るハメになったよ」
話をしていると、廊下から声がする。
「車内販売だ！ 」
ビルが車内販売に注文する。それを見ながらAはチャーリーに声をかけた。
「ねぇ、車内販売って何があるの？ 」
「百味ビーンズに蛙チョコ、パンプキンジュースに魔女鍋スポンジケーキ、ドルーブルの風船ガム。旅のお供ならなんでも！ 」
「なんだか……不思議なものが売ってるってことはわかった」
知らないものばかりだ……そう思っていると注文を終えたビルがボトルを手渡してくる。
「ホグワーツへようこそ」
「えっ、悪いよ、いくらだったの？ 」
「お金が有り余ってるわけじゃないけど、先輩ぶらせてくれ」
「やったぁ！ ありがとうビル」
チャーリーは嬉々としてボトルを開けている。おそらくこれがパンプキンジュースだろう。
「ありがとう」
キャップを開けて飲んでみる。シナモンの匂いだろうか。
「甘いのは好き？ 」
「うん、好き」
「ならこれも好きなんじゃないか？ 」
そう言ってビルにケーキを渡される。ずっしりと重い、チョコケーキだろうか？
「うわっ、逃げた！ 」
「窓を閉めろ！ 」
じっとケーキを見ていると、バタバタと音がする。
顔を上げると得体の知れない茶色が飛び跳ねている。
Aは咄嗟に杖を引き抜いた。杖から閃光がはしり、茶色い影が動きを止める。
チャーリーは慌ててそれをキャッチした。
チャーリーは目を丸くしてAを見ている。
それを見て、自分のした事に気づく。
ここは魔法界。魔法を使っても大事にはならない。
問題はそこではないのだ。
「……A、ペトリフィカス・トタルスを知ってるのか？ 」
ビルが口を開く。利発な彼の前では、いかなる言い訳も無意味だろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あくびさん(プロフ) - かるうらさん» ハリポタ本編で不死鳥の騎士団しか出てこず、映画では出てこなかったあのチャーリーです笑(ホグミスでは主人公と友達になります)他にも「あのチャーリー」で書かれている方もいらっしゃいますので是非笑 (2021年3月8日 7時) (
レス) id: 53deba8a5c (このIDを非表示/違反報告)
かるうら(プロフ) - 何気なく読んだので、4話のドラゴンのくだりで「え!?チャーリーってあのチャーリー!?」とビックリしました。ホグミスをやっていないので、チャーリー落ちが新鮮で楽しみです(すみません、5話までしか読んでいない衝動コメです)。 (2021年3月8日 1時) (レス) id: 9a522098d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あくびさん | 作成日時：2021年1月30日 11時
