28.マグル界へ ページ29
「おかしくない？ どうして50点差でグリフィンドールに負けるの？ 」
チューリップが蛙チョコレートを齧っている。
カードはノーマルのダンブルドアで、彼女はもう3枚目らしい。
……蛙チョコレートの捕食シーンはあまり好きではない。
「詳しく知らないし、又聞きなんだけど、ノア・ハワードが校長室に呼び出されたみたいなの」
「どんな悪さをしたら校長室に呼ばれるのかしら」
トンクスがチューリップの隣で楽しそうに笑う。
彼女は百味ビーンズを手に持っている。恐らく「お裾分け」をするつもりなのだろう。
「少なくともスネイプに化けて本人にそれがバレる程度では校長室には呼ばれないらしいね」
ハッフルパフが10点減点された原因は確かこれだったはず。Aはかぼちゃジュースを手元に用意しながら言った。
「どうしてそれを！？ 」
「私が言った」
「チューリップに聞いた後ペニーからも聞いた」
「あの時は薬草学のレポートを山ほど書かされたわ」
はい、お裾分け。と、トンクスが百味ビーンズを配ってくる。
綺麗な緑色だ。青リンゴ味だと良いのだが。
「卒業までに校長室に呼び出されるようないたずらを、あなたたち2人がしないことを祈るよ」
百味ビーンズに祈りを、と言って口に放り込む。
爽やかだ。爽やかな風味が鼻を抜けていく。
まだマシだが食べたくはない。
「……最悪、草味」
.
キングズ・クロス駅に到着すると、生徒は皆迎えにきた家族の元へ駆け寄る。
そういうものだ。仕方がない。
「チャリティ、帰ろうか」
大きな鳥籠に呼びかけて指を入れると、チャリティは指に頭を押しつけて応えてくる。
「おかえりなさい、ウィリアム、チャールズ」
赤毛の大家族は今日も勢揃いしている。
挨拶だけでもすべきだろうかと、悩んだのちに、やめることにした。
折角の団欒を壊したくはない。
荷物をパンパンに詰め込んだトランクを左手に、チャリティの鳥籠を右手に持ち上げて、マグルの世界へ歩き始める。
「あら、A！ 貴女も、おかえりなさい！ 」
「ああ、本当だね。おかえり、A」
赤毛の夫婦がそう声をかけてくる。振り返ると、ビルとチャーリーもこちらに手を振ってくれていた。
「ただいま！ 」
つい頬が緩む。モリーは優しく微笑んでくれた。
「A、家まで送りましょうか？ 」
「いえ、お気持ちだけで。マグルの田舎なので」
ウィーズリー家に軽く挨拶をして、改めて歩き始める。マグル界へ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あくびさん(プロフ) - かるうらさん» ハリポタ本編で不死鳥の騎士団しか出てこず、映画では出てこなかったあのチャーリーです笑(ホグミスでは主人公と友達になります)他にも「あのチャーリー」で書かれている方もいらっしゃいますので是非笑 (2021年3月8日 7時) (
レス) id: 53deba8a5c (このIDを非表示/違反報告)
かるうら(プロフ) - 何気なく読んだので、4話のドラゴンのくだりで「え!?チャーリーってあのチャーリー!?」とビックリしました。ホグミスをやっていないので、チャーリー落ちが新鮮で楽しみです(すみません、5話までしか読んでいない衝動コメです)。 (2021年3月8日 1時) (レス) id: 9a522098d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あくびさん | 作成日時：2021年1月30日 11時
