2.オリバンダーの店 ページ3
「緊張した……魔法界って色んな人が働いてるんだ…」
グリンゴッツ銀行をあとにして、胸を撫で下ろす。
色んな「人」というよりももはや色んな「種族」だろうか。小さくて鼻が高くて、耳の尖った「人」が働いていた。
空っぽで持ってきた財布はずっしりと重い。
学費を振り込んで、入学準備に必要な金額をおろしても口座にはまだ余裕があった。
「えぇと……杖が必要なのね。杖……オリバンダーの店っていうのがあるのか。オーケー」
正直何もオーケーではない。
周りの道を確かめながら、Aは店を探しに歩き始めた。
.
「ふむ、これもダメか……」
オリバンダーの店。悩みきった声を何度聞いたかわからない。
周りの客に申し訳ないし、腕が千切れそうだ。
「あの、やっぱり他の方の後からでも……」
「これならどうだ、ヒイラギ、ユニコーンのたてがみ、11インチ」
「……ありがとうございます」
先程の杖よりは遥かに扱いやすそうだ。さっきのはドラゴンの心臓の琴線だったはず。
Aは今度こそ上手くいってくれ、と祈りながら杖を振る。しかし、祈りとは神に届かないものだ。
「ふむ、ダメだな……」
「あの、オリバンダーさん……私、やっぱり一度出直した方が」
「月桂樹、ユニコーンのたてがみ、10と4分の3インチ」
「……はい」
気が狂いそうだ。
渋々頷いて杖を手に取る。ふわっと、杖から何か伝わるような感じがした。
この杖は手に持ったその瞬間から違う。応えてくれる。
生き別れた相手のようにしっくりと馴染む。
杖が手の一部のようで、Aの身体から、杖の先まで血が通っている。そんな錯覚さえ覚えた。
いける、この杖なら。
Aは胸の高鳴りを感じながら、杖を構えた。
杖を一振りするとキラキラと煌めく。
オリバンダーが満足そうに頷くのが、視界の端で見えた。
「月桂樹は最初の持ち主に忠実だが、所有者が怠心を持った時点で元の所有者を離れる。ユニコーンのたてがみも、所有者に忠実で闇の魔術に組みし難い。君のお父さんの杖も、月桂樹にユニコーンのたてがみだった」
「……ありがとうございます、オリバンダーさん」
代金を支払って店を出る。
「あと教科書と……制服か。採寸するのにさっきご飯食べちゃったし……フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店を先に探そう。あとフクロウと箒も見てみたいな」
赤毛の大家族とすれ違いながら、本屋へ向かった。
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あくびさん(プロフ) - かるうらさん» ハリポタ本編で不死鳥の騎士団しか出てこず、映画では出てこなかったあのチャーリーです笑(ホグミスでは主人公と友達になります)他にも「あのチャーリー」で書かれている方もいらっしゃいますので是非笑 (2021年3月8日 7時) (
レス) id: 53deba8a5c (このIDを非表示/違反報告)
かるうら(プロフ) - 何気なく読んだので、4話のドラゴンのくだりで「え!?チャーリーってあのチャーリー!?」とビックリしました。ホグミスをやっていないので、チャーリー落ちが新鮮で楽しみです(すみません、5話までしか読んでいない衝動コメです)。 (2021年3月8日 1時) (レス) id: 9a522098d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あくびさん | 作成日時：2021年1月30日 11時
