18.1年目のクリスマス ページ19
「こんにちは、A」
廊下から中庭を眺めていると声をかけられる。
振り返ると、ペニーが立っていた。寒いのか、マフラーを首に巻きつけている。
「こんにちは、ペニー。チューリップを見てない？ 」
「見てないわよ、どうして？ 」
「彼女、私の荷物の中にカエルを入れてたの」
ペニーが嫌そうな顔をする。トンクスを除くハッフルパフにはカエルを誰かの荷物に忍び込ませるなんて発想はないに違いない。
「カエルは干からびる前に逃してあげたけど……それで、説教しようとしたら今度はチューリップが見当たらなくて。最近どこかに行ってることが多いみたいなの。トンクスと会ってるわけでもなさそうで」
「そうなのね、貴方の荷物に平穏が訪れるよう祈っておくわ」
そう、少し前からチューリップはどこかに消えるのだ。寮でも同室だからわかる。
てっきりトンクスといたずら三昧なのかと思ったが、トンクスも彼女がどこにいるのか知らないらしい。
途方に暮れて、雪の降り積もる中庭を眺めていたのだ。
「もうすぐクリスマスの休暇だけど、Aも家に帰るの？ 」
「うん……母さんのことでお医者さんと話さないといけないみたいだから」
定期的にチャリティを家に飛ばして、近況報告とAあての郵便物の回収をさせていたのだが、一通病院からの郵便物があったのだ。
「医者？
「マグルにとっての癒者かな」
「そうなの……何事もないといいわね。ともかく、クリスマスを楽しんで」
「ええ、ありがとう」
ペニーが手をひらひらさせて去っていく。人気者の彼女のことだから、クリスマスカードの交換相手の住所でも聞きに行ったのだろう。
チューリップを探そう。そう思って学舎に踵を返すと、チャーリーとぶつかりそうになる。
「びっくりした！ どうしてこんなところにいたの？ 」
「声をかけようと思ったんだけど、君がペニー・ヘイウッドと話すのが聞こえたからさ。邪魔になるかと思って」
「気にしなくて良いのに、そんなの」
思ってたより近くにいたんだな、と思いながら肩をすくめる。
「クリスマスは家に帰るんだって？ 」
「ええ、チャーリーとビルもそうでしょ？ 良いクリスマスを」
「母さんが残念がるな。是非Aをクリスマスに招いてほしいって、この前の手紙に書いてあったから」
驚いて目を丸くする。クリスマスに招いてもらえるなんて光栄だ。
「また今度のクリスマスに、誘ってよ。楽しみにしてる」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あくびさん(プロフ) - かるうらさん» ハリポタ本編で不死鳥の騎士団しか出てこず、映画では出てこなかったあのチャーリーです笑(ホグミスでは主人公と友達になります)他にも「あのチャーリー」で書かれている方もいらっしゃいますので是非笑 (2021年3月8日 7時) (
レス) id: 53deba8a5c (このIDを非表示/違反報告)
かるうら(プロフ) - 何気なく読んだので、4話のドラゴンのくだりで「え!?チャーリーってあのチャーリー!?」とビックリしました。ホグミスをやっていないので、チャーリー落ちが新鮮で楽しみです(すみません、5話までしか読んでいない衝動コメです)。 (2021年3月8日 1時) (レス) id: 9a522098d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あくびさん | 作成日時：2021年1月30日 11時
