15.カップケーキのダンス ページ16
「ミス・カーティス、私が間違っていたら、あるいは答えたくなければ何も言わなくていい」
「はい」
フリットウィックはまたじっとAを見る。
まるで何かを、誰かを思い出そうとしているかのように。
「ミス・カーティス、『シャフィク』という名に聞き覚えはあるかね？ 」
「……」
Aは無言で頷いた。
それを見てフリットウィックは、そうか……と呟いた。
そして教室の隅に置いてあった籠からチョコレートバーを取ると、Aに手渡してくる。
「ええと……これは」
「マグルも食べる普通のチョコレートだ」
「あ……ありがとうございます」
ぴょんぴょん跳ねるチョコレートでも、辛いチョコレートでもないらしい。
Aは包み紙からチョコレートを取り出して齧った。甘い。
フリットウィックはそれ以上『シャフィク家』について追求するつもりはないらしく、先生が生徒に向ける優しい表情をしていた。
「思い出話に興味があれば、私の部屋に来るといい。悩みがあれば、あるいは何もなくても」
「何もなくても、ですか？ 」
「ああ、いつでも歓迎しよう。カップケーキのダンスを用意して待っているよ」
カップケーキ「と」ダンス、ではなくカップケーキ「の」ダンスらしい。魔法界では普通なのだろうか。
「楽しみにしてます、カップケーキのダンス」
そう返すと、フリットウィックは満足そうに頷いた。
「さて、そろそろ行かねば、ディナーを食べそびれてしまう」
「あっ……はい！ チョコレート、ご馳走様でした！ 」
今頃チューリップが待ちくたびれているはずだ。
Aはお礼を言って教室を後にした。
大広間で、見覚えのある青色のローブを見つける。
その隣にはピンクのショートヘア。
「遅くなってごめん、チューリップ」
「待ちくたびれて食べはじめちゃったわ」
2人の前には皿がいくつか並んでいる。
美味しそうなミートパイはどこから取ってきたのだろうか。
「誰かと思えば、組分け帽子を悩ませたA・カーティスじゃない！ 」
「ノア・ハワードの噂で私のことなんて忘れられてると思いたかったんだけど……あなたは確か、ニンファドーラ・トンクスでしょ？ 」
「ほらね、Aは天才なのよ」
何故かチューリップが得意げに言う。
先ほどまでAの話をしていたらしい。
「2人で何の噂話してたの？ 教えてよ。あとミートパイの場所もね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あくびさん(プロフ) - かるうらさん» ハリポタ本編で不死鳥の騎士団しか出てこず、映画では出てこなかったあのチャーリーです笑(ホグミスでは主人公と友達になります)他にも「あのチャーリー」で書かれている方もいらっしゃいますので是非笑 (2021年3月8日 7時) (
レス) id: 53deba8a5c (このIDを非表示/違反報告)
かるうら(プロフ) - 何気なく読んだので、4話のドラゴンのくだりで「え!?チャーリーってあのチャーリー!?」とビックリしました。ホグミスをやっていないので、チャーリー落ちが新鮮で楽しみです(すみません、5話までしか読んでいない衝動コメです)。 (2021年3月8日 1時) (レス) id: 9a522098d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あくびさん | 作成日時：2021年1月30日 11時
