【ポケモン剣盾】黎明のポケモントレーナー (ページ4)

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54.片付けページ4

地下プラントには『何かあった』形跡が色濃く残っていた。
野望、希望、失望、戦い。
その渦の中心で、ローズは床に座っていた。

ローズは三人を見つけると顔を歪めるように笑う。
それが本望でないのが、ありありと感じられた。
「わたくしの計画は不十分だったようです。わたくしはただ、ガラルのためを思って……」
「ローズ委員長」
Aとマグノリアがうんざりとした顔をした瞬間、キバナが言葉を遮る。
ローズの言葉を遮ったキバナは、マグノリアに目線を送った。もう演説は聞かないということか。
促されたマグノリアは一歩進み、威厳に満ちた声で告げた。

「今この場にいるジムリーダーと、リーグスタッフを証人として、今回の件はリーグ本部へ報告します。あなた方の処分は本部の決定に従います。……残念ですよ、とても」

.

スタジアムを出る頃には、すっかり元通りの空に戻っていた。
ナックルシティの人々も、日常の中に戻ってきたらしい。
「さて、私は孫娘の宿題の出来を見に行きます。後のことは任せて構いませんね？」
「はい、ありがとうございました」
マグノリアは微笑むと、タクシー乗り場へと向かっていく。

残された二人は、顔を見合わせてふっと頬を緩めた。
「まったく、めちゃくちゃな日だな」
「本当に……長い一日だよ」
ソニアやルリナ、リーグスタッフらから、大量のメッセージが届いている。
最後のメッセージから、住民を帰してジムリーダーもリーグスタッフも解散したらしい。
…今日はもういいや、と、返事もせずにスマホロトムの画面を消してしまった。
そうして何となく、キバナの家へ歩き始める。
「チャンピオンマッチではポケモンに乗るなよ？」
「うん、流石に懲りたからやめておく」
「あと明日には病院に行って診てもらえ」
「うん、ごめんね」
「A」
ラリーのように言葉を交わしていたのが止まる。

力強い腕がAの体を引き寄せ、キバナはAの肩に頭を預けた。
「好きだ」
その言葉に隠された感情に、息が止まる。
「……うん」
こんなにも大切にされている。
それを、大切にすることができなかった。
「もう無理はするな」
そっと、肩に乗せられた頭に手を添えてみる。
ぎこちなく、子供をあやすように、慰めるようにAはキバナの頭を撫でた。
「きっと私はあと三回は同じことで叱られるから、これからはちゃんとするよ。助けてくれてありがとう」
もう片方の手で、自分より大きなキバナの身体を、そっと抱きしめ返した。