11.お目付役 ページ23
ネズからことの端末を聞いていると、男が口を開く。
「あの、ワレワレ、ユウリさまに謝罪に参りたいのですが……」
「はぁ……自分の立場をわかっているんですかね」
「お願いします！ ワレワレ、ユウリさまにお会いしないことには……！ 」
不審者の処理が決まったと思えば、今度は別の面倒ごとが湧いてきた。
不審者二人はネズに縋り付いて懇願している。
「手紙を書くなり電話するなり、いくらでも謝罪ならできるでしょう」
「いいえ！ やはり謝罪は直接でなくてはなりません！ 」
「じゃあ、オレさまはこいつらをトレーナーに引き渡すからな！ 」
キバナが素早く逃げていく。ずるい。
「ユウリちゃんたち、どこに向かったかご存知ですか？ 」
「彼らならまどろみの森に向かいましたよ。元チャンプの弟を迎えに行ったんでしょう」
「じゃあ元チャンプも呼んできます。お目付役が必要でしょうから……こちらでお待ちになっていてください」
ネズがもの凄く嫌そうな顔をする。この場を離れる口実なのはバレているらしい。
「では、ダンデくんを連れてきますね！ 」
.
ローズタワーを……いや、新しく名前が変わると聞いたので何という名になるのか知らない巨塔を登る。
かつてローズの使っていた部屋のドアをバンと開くと、難しい顔をしていたダンデが顔を上げた。
「A？ どうかしたのか？ 」
「ダンデくん、全然スマホロトム見てないでしょ。もの凄く大変だったんだよ」
ダンデがスマホロトムを手に取る。
メッセージを一読して、また難しそうな顔をした。
Aダンデくん、出てこれる?
A王族の人がやらかしちゃって、お目付役が必要でダンデくんにお願いしたいの
A(通話がキャンセルされました)
A(通話がキャンセルされました)
「どういうことだ？ 」
口頭で説明しようとしていて、酷く簡素な文面だから仕方がない。
「ユウリちゃんとホップくんがザシアンとザマゼンタに認められた？ らしいの。私もネズさんから聞いたんだけど……とにかく、聞いたことはタクシーで話すから、行こう！ 」
「何！？ 伝説のポケモンに、あの二人が！？ よし、急ぐぞ！ 」
ダンデが椅子から勢いよく立ち上がった。
デスクの書類がバサバサと落ちるのを気に留めもしない。
「うん、下にタクシー呼んでるから！ 」
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作者名：あくびさん | 作成日時：2020年10月31日 19時
