【ポケモン剣盾】黎明のポケモントレーナー (ページ19)

今日:12 hit、昨日:2 hit、合計:54,778 hit

7.不審者ページ19

離れたところに、橙の彼を見つける。
言葉を交わせる距離でもなく、言葉を交わす時間もない。
だが、目配せで十分だ。
「アーマーガア、バリコオル、フーディン、ゲンガー、ダイマックスポケモンの気を逸らして！サーナイト、ルカリオ、避難を進めるよ！」

指示を飛ばすと、アーマーガアが空を舞い、バリコオルは氷で足止めを始めた。
「サーナイトは北、ルカリオは東をお願い。私は西の避難を進めるから。避難が終わったら他の子たちに加勢してあげて」
二匹にさらに指示を出して、別々の場所に向かう。
ダイマックスポケモンの足止めから解放されたキバナが、南の客を避難させ始めている。
ゲンガーは影に消えは影に現れ、ダイマックスポケモンを翻弄している。
普段の仕事は得意というわけではないが、ゲンガーはこのような動きには強い。
連れてきたのは正解だったようだ。

『電話ロトー！』
「繋いで！」
片手にスマホロトムを握りしめたまま電話を繋ぐ。
『うわっ、何これ……ナックルスタジアム！流石A、もう来てくれたんだ』
カメラをつけた状態での電話だったらしく、ソニアの声が戸惑いを露わにしている。
今頃画面には避難する人々の足元が映っているのだろう。
「友達の頼みだからね！何か用？」
『このダイマックス、色んなスタジアムで起きてて…それを引き起こした人たちがいるんだ。どう言ったら良いかな……ヘンテコな髪型の…』
ヘンテコな髪型に心当たりがあって、一瞬動きが止まる。

「……剣と盾、じゃない？」
『えっ、そう！そいつら！そいつらが今ナックルシティにいるみたいなんだけど、どこにいるか知らない？』
「ナックルスタジアムの下、地下プラント。でもエレベーターがロックされてるから、解除しないといけない」
避難を進めながら少しずつ北に移動していく。
ポケモン達はなるべくダイマックスの相手をしていてほしい。
『なるほど……わかった、ロック解除できるように準備していく。ありがとうね、A』
「ほんっとに、落ち着いたら全部ルリナと私に説明してよね？」

通話が切れる。
ダイマックスポケモンを前にしたら電話にも出られないだろう。
Aはスマホロトムを鞄の中に突っ込んだ。
「メッセージは返せないから、電話が来たら教えて」
『了解ロトー！』
スマホロトムの声が篭って聞こえる。
「……急がなきゃ」
Aは残る人々を避難させるために、声を張った。