4.呼び出し ページ16
そらとぶタクシーに乗ってバウタウンへ向かう。
嫌な予感は的中するものだ。
Aはバトルコートの友人に声をかける。
「ルリナ！ もしかしてダイマックス……だよねぇ」
「A！ 避難を手伝ってもらってもいいかしら」
「仰せのままに！ 」
予想通り、ダイマックスしたポケモンを目の前にしてAは六匹のポケモンをボールから解放する。
「さっきと同じメンバーでお願い！ サクッと避難させるよ」
.
「避難はすぐ終わったけど……水タイプ得意じゃないんだよねぇ」
わざが守りに固めていること、水タイプに強いポケモンがいないこと。
この2点でかなり手間取っている。
ルリナも、相性が等倍ではなかなか苦戦しているようだ。
「ごめんなさい、A。シーズン中でもないのに呼び出しちゃって」
「いいのいいの、ターフスタジアムのエキシビジョンの仕事があったし……実はターフスタジアムでもトレーナーのいないポケモンがダイマックスしたんだよね」
飛んできたわざを横に流す。
観客がいないから、許してほしい。
「ターフスタジアムでも！？ 大丈夫だったの？ 」
「うん、すぐに避難させて、あとはヤローさんとネズさんと、後から来たユウリちゃんとホップくんが対応してくれたから」
ちらりと時計を見る。
……彼らに連絡が入っているにしては遅い。
もしかして、エンジンシティも同じ被害に遭っていたのだろうか。
だとすると、そろそろユウリたちがこちらに来るかもしれない。
「ルリナ、ちょっとエントランスの方に行っててくれる？ 」
「どうして？ 一人にはできないわ」
「多分そろそろ着く頃だと思うから……大丈夫！ これが私の仕事なんだから、任せて」
「……わかったわ、無理はしないでね」
「うん、ありがとう」
ルリナがタイミングを見て退く。
バリコオルにフリーズドライを覚えさせたままにしておけば良かった。
「フライゴン、無理せずに引いて！ アーマーガアはそこで注意を逸らしてくれる？ 」
攻撃がほとんどできない。
しかし、時間稼ぎと防衛は得意だ。この仕事のおかげで。
「チャンピオンのお出ましまで持ち堪えるよ」
.
徐々にこちらの体力が削れていく。
飛んできたわざを避けながら指示を出すAも疲れてきた。
「結構手間取ってるのかな…そりゃあそうか」
ふと、こちらに向かってくる複数の足音が聞こえてくる。
「もう、待ちくたびれたよ。皆、引くよ！ 」
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作者名：あくびさん | 作成日時：2020年10月31日 19時
