36.喧騒の陰 ページ2
「……ちょっと、A」
「ん……、ん？ 何？」
「何？ じゃないわよ、一体どうしちゃったの？ 」
目の前でひらひらと動かされる手に気づいてAは隣を見た。
隣でチューリップが呆れ顔をしている。……呆れたいのはAの方だ。
「何？ ずっと捕まらなかったけど、どこで何やってたの？ 」
「そ、その話は今は良いでしょ？ さっきからぼーっとしちゃって、どうしたのよ？ 」
言われて周囲を見ると、大広間が赤色で埋め尽くされている。今年もグリフィンドールに負けたらしい。
「え？ いつの間に？ 」
「ついさっきよ」
ちらりとグリフィンドールの方を見遣れば、喜び讃えあう様子が見えた。
「今年もね……意外とノアって優等生だからなぁ……」
伸びをしてから、これまた知らないうちに現れていた料理に手を伸ばす。
アツアツのシェパーズパイを手元の皿に盛り付けたものの、また思考がぐるぐると回って食が進まない。
Aがマッシュポテトの表面をフォークでつんつんしていると、チューリップとハディーアは困ったように目を見合わせた。
「A、行儀が悪いわ。珍しいわね」
「今年の初めほどじゃないけど、また悩み事なの？ 」
「え？ ええ、呪文学の……課題のことで」
腕の立つ信頼できる人を連れてきなさい。
フリットウィックに言われたそれを「課題」と呼ぶのは強ち間違いでもないだろう。
「呪文学の課題？ あ、待って。わかったわ、先生から受けてる補講のこと？ 一体何を教わっているの？ 」
チューリップが身を乗り出してくる。
チューリップはレイブンクローに組分けされるだけあってそれなりにデキる方だし、友達として信頼できる。……問題は彼女が無邪気な子供くらい好奇心が強いこと。
「落ち着いたら話すよ。まだ全然まとまり切ってないから」
「意味深ね」
「まだ言えないくらい難しいことをやっているの？ 変身術の特別授業も受けて、全部の科目を履修してるんでしょう？ 無理はしちゃだめよ」
甘いものでも食べてリラックスして、とハディーアがAの前にトライフルを置いてくる。
「ありがとう。しばらく心配かけてるかもだけど、あんまり気にしないで」
「気にもするわよ、大事なお金をかけてるんだもの」
「……本当に懲りないね」
今年もグリフィンドールに軍配の上がった喧騒の陰で、久々に揃ったルームメイトたちと談笑をしていた。
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あくびさん(プロフ) - ringoさん» 大変お待たせしました…！コメントありがとうございます！ (2023年1月18日 17時) (
レス) id: 53deba8a5c (このIDを非表示/違反報告)
ringo(プロフ) - 久しぶりでワクワクしています。楽しみにしています! (2023年1月18日 16時) (レス) id: cada4a4ce1 (このIDを非表示/違反報告)
あくびさん(プロフ) - 余白のむらさん» コメントありがとうございます！私のアプリに追いつきそうになっているので執筆とアプリゲーム両方頑張りますね…！ (2023年1月18日 16時) (レス) id: 53deba8a5c (このIDを非表示/違反報告)
余白のむら(プロフ) - このお話すごく好きです。続き待ってます (2022年11月23日 10時) (レス) @page3 id: 3edb9aa810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あくびさん | 作成日時：2021年2月12日 0時
