貴方と私のアバンチュール２【新・信長公記】

第六十五話 ページ24

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次の授業の為に音楽ホールの扉をみやびちゃんが開けようとするが、何かが引っかかっているのか、全然開かない。

『だ、大丈夫？ちょっと変わって』
みやびちゃんと変わり、私が力を込めて勢いよく扉を開いた瞬間、家康くんの旗印を一緒に巻き付けられた男子生徒が倒れ込んできた。

『ぎゃああぁっ！！』
「きゃぁあああ！！？」
早すぎる次の犠牲者とホラーゲームにでもありそうな演出に私はみやびちゃんと共に叫び声を上げた。
さ、流石にこれは…度が過ぎてる！！

みやびちゃんもそう思ったのか、「Aさん！私、文句を言ってきます！」と足早に何処かへ向かっていく。
一瞬すぎる行動に、私は一人戸惑ったが、この男子生徒の為に保健室へ艶本先生を呼びに行くことにした。






人手が足りないということで先生の仕事を手伝い、一緒に運んだあと、他にも色々手助けをした。
暫くしてやっと開放された私が疲れた顔で教室に入った瞬間、今川くんがいきなり大きな音を立てて椅子を蹴った。
『！？え。な、なに…！？』

どうやら彼は家康くんに相当お怒りのようで、今のは椅子にイライラをぶつけたというところだろう。
お、怒ったら物に当たるタイプなのかな……？？

「騒ぐな、今川」

「テメェは黙ってられんのか！？」

「おめぇうるせぇんだよ！」

「あぁ！？」

「いや、マジで今川の言う通りやわ。俺らこのままアイツの手の上で踊らされんのか！？」

「うるせぇよ猿。キーキーキーキー騒いでんじゃねぇよ」

「お前やろ、うるさいの！！」

今川くんを筆頭に、ストレスが溜まっているのか喧嘩を始める皆。
そんな彼らに声が出せずにいると、定位置に座っていた信長くんが突如大声をあげる。

「うつけども！！」
その張った声に皆がピタリと動きを止める。私もあまりの剣幕に釣られて固まってしまった。

「安心しろ、俺が天下を獲る」
う〜んさっきからそれしか言ってないんだよなあ信長くん……
同じことしか言わない彼に、私は思わず苦笑。

「信長、しっかり突っ込ませてもらうで？…もうええわぁぁあ！！！」
「信長くん。どうやって天下を、どうやって家康くんをお止めになるおつもりですか？」

みやびちゃんがそう尋ねると、皆も賛同して色々文句を言い始める。
それに対し信長くんは、一度天を仰ぐと、立ち上がって私達の方を向いた。


「和の心を持って…天下を獲る！」
結局具体例のない彼の答えにずっこける彼ら。うーん皆、反応だけで芸人目指せるよ。

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