明日のFools《ars/s.s》 (ページ7)

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Scene2 -3 ページ7

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そうは言っても隣に座っていれば会話は筒抜けなわけで。

「そうだ恋人と言えば翔ちゃん、あの女とは別れたの？」

「え、なんで？別れてないよ？」

「まぁだ別れてないわけ？やめときなよあんな女。翔ちゃんまた悪い女に引っかけられてるだけだって」

「またその話か……いいんだよ、好きだから」

「はぁ、俺にはわかんないね翔ちゃんのその趣味」

「趣味なんて言い方すんなよ」

「櫻井先生、恋人いるんですか？」

思わず潤くんが口を挿む。

櫻井先生はむっとした顔をしていて、二宮先生はあきれ顔だ。

あきれ顔の二宮先生が櫻井先生よりも先に口を開く。

「いるよ。遊ばれてるだけだと思うけど」

「……違うよ」

「ほら自信ないじゃん」

弱く返事をする櫻井先生に二宮先生がすかさず突っ込んでいる。

私たちの視線に気づいたのかこっちを見た櫻井先生はその大きな目をきょろきょろさせた後ちょっとだけうつむいた。

「そうだとしても…しょうがないじゃん、放っておけなくなっちゃうんだもん」

言い訳みたいに言って櫻井先生はラーメンをすする。

思いがけない言葉に私と潤くんはこっそり顔を見合わせた。

放っておけない、なんてなんだか聞いた話だな。

食堂から教室に戻る途中、潤くんはそんなことを私に向けて言った。

確かに、聞いた話である。

櫻井先生にとって放っておけない女の子というのは、私だけではないらしい。

それを知ってほんのちょっと教室に戻る足が重たかった。

人の身体とは厄介なものだ。

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