Scene2 -2 ページ6
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それにそもそも、前回まではともかく今回のこれにまともな恋心が伴っていないことだけは確かだ。
私だってまともな恋の一つ…いや、一つだけだけど…くらいはしている。
誰にもそんなこと言えないけど。
「お、松本と石動」
「櫻井先生、と二宮先生…昼ですか？」
「そ。幼馴染仲良く食べてるとこ悪いけど隣いい？」
「全然いいですよ」
私が潤くんより早くそう言うと潤くんの切れ長の目に睨まれた。
なんで睨まれなきゃいけないのさ。
だって櫻井先生と一緒にご飯が食べられるチャンス。
私のまともかもしれない恋心らしきものだから、ちょっとくらい大切にさせてほしい。
「じゃあお邪魔します」
「しまーす」
櫻井先生が私の隣。
二宮先生は潤くんの隣に腰掛ける。
二人の手にはラーメンが乗ったお盆。
初夏になったとはいえまだ涼しい日もあるから食堂では温かい食べ物が売れているようだ。
「話遮って悪いな。何の話してたの」
「こいつの新しい彼氏の話です」
「へー、石動恋人いるんだ？」
「どういう意味ですか二宮先生」
ジトっと二宮先生を睨んだら喉でククと笑われた。
馬鹿にされてる。
私に恋人がいたらそんなにおかしいか。
養護教諭である二宮先生は入学した時から私の天敵だ。
何かとちょっかい掛けられて、遊ばれてる感じがするのが気に食わない。
だけどさぼるために保健室に行くといつもなんだかんだとベッドを使わせてくれるから頭が上がらない。
まったく困ったものだ。
「別に。お前も女なんだな」
「知らなかったんですか」
「あはは、二人って仲いいんだな知らなかった」
櫻井先生が朗らかに笑いながらそう言うから私と二宮先生は顔を見合わせて口を噤む。
別に二宮先生と仲がいいつもりなんてない。
けどしまった、ついいつもの調子で二宮先生と会話してしまったけど櫻井先生の前だった。
今更取り繕うことはできないけど私は可愛い女子生徒になりきれそうにない。
「邪魔して悪い。俺たちは俺たちでやるからお前らはお前らで食っていいよ」
櫻井先生はそう言うと二宮先生に向き直ってしまった。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年5月17日 15時
