【遊戯王VRAINS】青春パトロン【藤木遊作】

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『やぁ、プレイメーカー』

突っ伏したままの遊作が、端末へのメッセージを受け取ったことで目を開ける。震えた端末機器を取り出すと、人物は『ジャービス』と表示されていて遊作はその中身を開いた。

『先程、ハノイの騎士の情報が入った。草薙には既に連絡済み。今すぐ出れるかい？』

遊作が辺りを見回し、ジャービスへ返信を打ち返す。こっそりと、授業を抜け出そうとするともう一つ、ジャービスからメッセージが届いた。

『君は授業中に寝る癖を控えた方がいいんじゃない？』

余計なお世話だ、そう思った遊作がそれを口にすることも返信することも無かった。

ジャービス、そう呼ばれる人物が現れたのは遊作がPlay makerとして活動を始めてすぐの事だった。突然、遊作の端末宛にPlay makerへのメッセージが送られてきて、その時の遊作と草薙の焦り様は半端じゃなかったのを思い出す。ジャービスはどうやら、ネット界では有名な凄腕ハッカー。草薙が言うにも、ウィザード級の数少ない才能の持ち主らしい。ジャービスの正体を知る者は誰も居らず、あのハノイの騎士でさえ正体を追っている途中なのだ。

遊作も始めは、自分の『あしながおじさん』を称すジャービスに警戒と嫌悪を抱いていたが、メッセージのやり取りや情報を貰うにつれ、その感情はなくなり今ではすっかりジャービスの腕に頼りきっている。さっきのメッセージから分かる通り、ジャービスはこの学校のカメラ、及び街の殆どの監視カメラをハッキングしているらしく、遊作が何をしても行動がバレる。前に、ジャービスから聞いた言葉は、

『監視カメラだけじゃない。君たちの持つパソコンや端末、ネットワーク機能を持つ機械のカメラは全て僕の庭』

だそうで、これには遊作も素直に感心した。こいつの腕は本物だ。遊作は『あしながおじさん』を名乗る彼？彼女？からのメッセージ通り、乗せられていた地図の場所へと赴く。そこにはメッセージ通りハノイの騎士がいて、今回の情報も嘘ではなかった。

デュエルディスクを構えたPlay makerがハノイの騎士と戦闘を行い、勝つことをジャービスは今もそこらじゅうのカメラから見てるのだろう。

『今回も期待してるよ』

メッセージが送られてきたわけでもない、聞こえたわけでもないのに遊作は何故かあいつがそう言ってる気がしてならなかった。

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