remember 13 ページ15
遊作が教室を飛び出したあの日。送られてきたLINK VRAINSの座標へと向かった遊作の前には、フードを被った後ろ姿とハノイの騎士、リボルバーがそこに居た。
｢っ、ジャービス！｣
｢リボルバー、どうやら時間切れみたいだよ｣
｢成程、Play makerを呼んだのか｣
｢君、あまりにもしつこいからさ〜｣
ジャービスがじゃあね、と笑って手を振り下ろす。辺りは白い光へと包まれ、そこに居た3人は、ジャービスの作り上げたプログラムによって強制的にログアウトへと持ちかけられた。
やっと姿が見れたのに、遊作は不甲斐なさを感じながらLINK VRAINSを離れる意識に目を閉じた。
｢……くん、藤木くん！｣
｢っ…、谷町…？｣
｢ごめんね、もう放課後だから起こさなきゃと思って｣
遊作は突っ伏していた机から体を離し、周りを見渡す。夕日が差し込む教室に人の影はない。起こしてくれた彼女にありがとう、と礼を言って荷物を持って立ち上がるとAが遊作の隣に並んだ。
｢一緒に帰ってもいい？｣
｢……好きにしろ｣
｢ありがとう｣
教室、下駄箱、校門をくぐって学校内を出る。遊作は無意識に、彼女の歩幅に合わせて足をゆっくりと進める。Aがそのことに気づいているか、いないかは分からない。けれど、二人の間には悪くない空気が流れこんだ。遊作は隣にいる彼女へと声をかける。
｢こんな時間まで何をしてたんだ？｣
｢私？私は、部活してたの。デュエル部に所属してるから、部活が終わって教室に忘れ物取りに来たら藤木くんが寝てたんだよ｣
｢……そうか｣
｢うん。寝不足？ちゃんと寝てる？｣
｢……それなりに｣
昨日、午前4時まで起きていた遊作は知らぬふりでそっぽを向く。学校だからと起きたのは6時。十分とは言えない睡眠時間と、彼女の気遣い。嘘をついたことに少し罪悪感を感じた。隣にいるAは嘘に気づいてか、何かを言いたげにするも、そっかと一言だけ言うとそのまま口を閉ざす。Aは遊作の方を見て微笑んだ。
｢藤木くんはデュエルに興味無いの？｣
｢俺？｣
｢うん、デュエル部。藤木くんが入ってくれたら嬉しいのに｣
遊作が不思議そうな顔でAを見つめると、彼女は自分の右を指差して、私の家こっちだから。と、彼に手を振り離れていった。
｢……俺がいて、嬉しいなんてあるわけが無い｣
遊作の独り言は誰にも拾われずに溶けて消えた。
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暁(プロフ) - とても面白いです!!次の更新楽しみにしています!! (2019年10月8日 12時) (
レス) id: dd077ce83e (このIDを非表示/違反報告)
はな - 続き読みたいです！面白かったです (2019年4月16日 1時) (レス) id: 87d0cab806 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！頑張れ〜恋愛一年生、遊作！ (2019年4月6日 21時) (レス) id: c6a15fa920 (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - ねこみこさん» コメントありがとうございます。お返事が遅れてしまい申し訳ありません。とても嬉しいお言葉ありがとうございます、ご期待に添えるよう更新頑張ります。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
ねこみこ(プロフ) - とても面白いです更新頑張ってください！ (2018年7月3日 22時) (レス) id: 185c2ad794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅりんぷ | 作成日時：2017年9月22日 17時
