【遊戯王VRAINS】青春パトロン【藤木遊作】

remember 12 ページ14

Aのよく使うコードに、自分宛に届いたメッセージを開いて一人。PCの前で頬杖をついた。

宛名は不明。だが、誰からかは検討がつく。日時と場所だけを示したメッセージに、Aは暇つぶし程度に出ても構わないなぁ、と時間を確認する。学校はこのために休んだ。メッセージに書かれた五分前。それなりの用意をして目を閉じる。お決まりの台詞を叫んで、目を開けたそこはAの想像通りの場所だった。

｢来たかジャービス｣

｢お望み通り、呼ばれてやったのさ｣

目の前の人物にジャービスは呆れたポーズをとる。彼はそんなジャービスの挑発には乗らず、話を続けた。

ジャービスのアバター。それに固定はなく、いつも男だったり女だったりと不定期だ。今日はどちらとも取れないような中性的な顔を選んでここへと降り立った。ジャービスを呼び出したリボルバーは鼻で笑ってそれを見つめる。

｢今日はどちらでもない姿で来たか｣

｢君に勘づかれるのも癪だしね。いつもの話しならお断りだよ、もっと楽しい話をしてくれ｣

｢生憎だが、そんな時間はない。私はいつも通り、こちら側への勧誘に来ただけだ｣

｢おっと、なら話はこれでおしまい。僕は帰るよ｣

ジャービスがリボルバーに背を向け、帰る態度を示す。それをリボルバーは逃がすまいと、手を伸ばした。どうやら、自分たちの半径50メートル以内にスイッチ一つで起動するプログラムを仕掛けていたらしい。ジャービスはそれに気づいてすぐに立ち止まった。

｢ハノイの騎士の勧誘は受けない。僕はいつだってヒーローの味方さ｣

｢その割には、Play makerにこちらの居場所は伝えなかった様だ。お前なら私だと気づいていただろう｣

｢うーん…、絶対的な共同歩調はとってないことを指摘したいのかい？それなら君の言う通りだけど｣

｢もう一度言う。私は貴様の腕を買っている、こちらに手を貸すというなら悪いようにはしない｣

リボルバーが再度話を持ちかける。ジャービスは笑って、指をパチンと一回鳴らした。その瞬間、リボルバーが仕掛けていたはずの結界が溶けていく。その様子にリボルバーは腕を組んで笑った。

｢君のプログラムはなんというか…単調なんだよね？｣

｢私の腕にケチをつけるのはお前ぐらいだ、実に良き力を持っている。やはりこちら側にふさわしい人間だ｣

｢それは光栄だね｣

ニヒルな笑みを浮かべる二人の真意はわからない。LINK VRAINSに吹く風が彼らの間を埋めた。

remember 13→←remember 11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す