【遊戯王VRAINS】青春パトロン【藤木遊作】

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悩みの種を抱えた遊作は一人、今日は教室で食べる気になれないと屋上へと赴く。騒がしすぎる教室で考え事など出来ない、屋上に繋がる階段を上った先。誰もいないと思っていたそこに一人、先客がいた。

｢あ、藤木くん｣

｢……谷町｣

呑気な声を出し、パックのいちごみるくを飲む彼女は暇つぶしからか自身の端末を操作していた。遊作は少し考えて、彼女の隣へと腰を下ろす。こうして、何も言わずに立ち去ったりしない辺り遊作とAの絆は目に見えて深まっている。そんなことにも気付かぬまま、遊作は自身の弁当を開けた。

｢藤木くん、わかりやすいね｣

｢は？｣

｢悩み事でしょ｣

｢…どうしてわかる？｣

｢私、教室の雰囲気苦手でいつもここで食べてるの。ここに来る人って滅多にいないし、藤木くんはどんなに騒がしくても教室にいるでしょ？｣

｢……目敏いな｣

｢えへへ！｣

遊作が弁当を取り出すと今日は主食が米で、箸を手に取る。隣のAはいちごみるくを飲み干すとそのパックを自分の隣に置いた。考え事、それを頭に思い浮かべた遊作はAに声をかける。

｢谷町、前に草薙さんのホットドッグ食べに来たよな｣

｢ん？あぁ、うん。あそこで会ったよね｣

｢あの日、誰か気になる奴とすれ違ったり、見たりしなかったか？｣

遊作の尋ねる言葉に、うーん？とAが首を傾げる。あの日の日が落ちた時間。ジャービスとの会話が、今の遊作の悩みの種。



｢……あんたの今日食べたもの｣

『痛いところを突かれたな、今日は…』


草薙のホットドッグを食べたよ。

ジャービスの返信に驚いてふたりがその場で立ち上がる。急いで二人が今日の近くのカメラデータを調べるがそれらは一切ジャービスによって抜き取られ、誰も通っていないことになっていた。ジャービスがデータを移し替えしたのだ。草薙は今日来た客の顔…、と顔を顰めて思い出そうとする。だが、所詮客の1人。誰がジャービスなのか等分かるはずもなかった。

『調べたって無駄無駄ァ！僕にかかれば、カメラのデータなんて3秒以内で書き換えられるよん！草薙、美味しいホットドッグごちそうさま』

ハートマークを飛ばしたジャービスとの会話は瞬きの間に、消える。それが少し前のこと。

遊作が忘れてくれ、とため息をつくとAが彼の頭を撫でた。

｢いつでも力になるからね｣

そういった彼女が微笑むと、遊作は複雑な気持ちに顔を顰めた。

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