035：それとこれは別だから ページ36
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ダイキ「……そうだ」
ふとダイキの髪が鼻をくすぐって
優しい声が耳を抜けた
「……？」
ダイキ「冷蔵庫入れねぇと」
「……忘れてた」
ダイキ「俺も」
置き去りにされていた
コンビニの袋
小さい方を渡されて
名残惜しく後ろをついて行く
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「……結構買ったね」
ダイキの持つ袋からは
ペットボトルの水と
缶チューハイが次々と出てきた
ダイキ「コンビニ寄った時は……まだ酔ってたから適当に買った」
「いつから酔いさめてたの？」
ダイキ「コンビニ寄って(あなた)に電話して……んー、エレベーター上がってる時くらい？」
「えっ、」
ダイキ「まぁ、アイツらは気づいてたと思うけど」
冷蔵庫の中に詰めながら
ダイキは
二つ、缶チューハイを出して
私と目を合わせると
缶をひとつ差し出した
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「……ん？」
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ダイキ「え？ほら、アリオカBAR」
「えっ、まだ飲めんの？」
ダイキ「仕事の酒と、こっちは別」
「ほんと、大丈夫……？」
私の心配をよそに
ケロッとした表情で
ダイキはベランダへ向かう
置いていかれないように
小走りで着いていくと
ダイキは小さなテーブルに缶を置いて
窓の外に背を向けた
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ダイキ「お嬢さん、ようこそアリオカBARへ」
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柔らかくて優しい表情
差し出された右手
黒いワイシャツに
光る左耳のピアス
全部に感覚を刺激されて
ダイキの表情にも仕草にも
魅せられていく
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「……ありがと」
缶を持ち直して
静かに右手を重ねる
なんだかソワソワして
気持ちごと全部
ダイキに見透かされそうで
気持ちを隠しながら
ベランダの椅子に腰掛けた
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ダイキ「(あなた)、」
「……ん」
缶を開ける音
振り向いたダイキと私は
部屋の電気に照らされて
ダイキ「続き、しよ」
「……続き？」
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ダイキ「ん、デートの続き」
外を眺めるダイキのピアスが
涼しい風に揺れて
きらり、星のように光った
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作者名：▼SOLA | 作成日時：2019年4月3日 11時
