無償 (ページ19)

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「はい、今回の対価はいつもと同じでいいですか？」

『えぇ、いいわよ。…本当は対価なんていらないのだけれど』

「無料より怖いものはありません。」

『アズールちゃんは根っからの商人ね。』

「褒め言葉として受け取っておきましょう」

『アズール・アーシェングロット。アタシを頼ってくれるのも嬉しいけれど、ジェイドちゃんやフロイドちゃんも頼ってあげなさいね。きっと貴方からアクションすればリアクションしてくれるはずよ。』

『3人でこれからも頑張りなさい。貴方は決してひとりじゃないわ。』

アズールちゃんは、そうですねと微笑んでいた。

では僕はこれで失礼します。と保健室をあとにした。

アタシは自室に戻って、ベッドに腰を下ろして煙をふかしていた。

『…ここの生徒はみんななんだかんだ言って恵まれているわね。優秀な魔法士の資質を持っているから周りの環境にも恵まれているのかしらね』

あら、こんなこと…

『羨ましいわ、本当に。アタシは何もかも差し出して見返りもなくあの女のために犠牲になった。同じくらいの歳なのに、眩しく感じるなんてアタシはどれくらいくすんでいるのかしらね。』

なによ、これ…

『リドルちゃんもレオナちゃんもアズールちゃんも、彼ら自身が気づいていないだけで、何もしなくても無償でそばに居てくれる人がいる。トレイちゃんやラギーちゃん、ジェイドちゃんとフロイドちゃんのように。』

ちょっと、黙りなさいよ…

『「ホント、ウラヤマシイワ。あたしモホシイ…」』

ﾎﾟﾀｯﾎﾟﾀｯﾎﾟﾀｯ…

『イクラヒツヨウトサレテモ、ヒトリナノハカワラナイ…』

ユキは黒いオーラを纏い始め、徐々に飲まれていった。そして黒いオーラは完全にユキを飲み込んだ。

そして、中から姿を現したのは真っ黒な翼の生えたユキだった。ユキの後ろには堕天使に似た怪物がいた。