【忍たま】魔界之小路先生が通販で失敗したことから始まるお話 ③ (ページ31)

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※過去捏造あり

『長次、これ直すことできる？』

『…これは何だ？』

『陽鬼の懐から出てきた物なんだけど壊れててさぁ。多分髪飾りだと思うんだよね。』

『…あんな所にこれを？』

『まぁ…ちょっと不用心な気はするけどね。私服の時も同じのつけてたからそれ用じゃない？』

『…そうか。』

『すごく細かいから難しいかもしれないけど、長次ならできるかなって思っ…』

『これ、…』

『え？えと…これ、何かあるの？』

『…いや…あまり激しくは壊れていないようだ。すぐに直せると思う。』

『そっか、ありがとう。陽鬼はまだ起きそうにないから急がなくても大丈夫だよ。』

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ひんやりとした空気の中に時折温かみのある風が吹くような春先の出来事だった。

日が傾き始めたころに親に連れられ向かった先には、こじんまりとした舞台とはらはらと集まっている人々がいた。親には「お祭りに行くんだよ」と言われていたが、お祭り特有の賑わいは無く、子どもながらにその独特な緊張感を覚えた。

やがて日が沈んで辺りが月と星の明かりのみになった頃にもやはり賑わいは無く、その代わりと言わんばかりに舞台の近くに置かれていた松明に明かりが灯った。明かりの方向に顔を向けると、静かに照らされた舞台に1人の女性が登壇したのが見えた。

あまり明るい場所では無かったこと、今より目線がだいぶ低かったこともあって、その人の姿を詳細には確認できなかった。

それでも、何か厳かなものが執り行われていたことは見てとれた。せっかく連れてきてもらったのにこのまま帰るのはもったいないなぁ、と幼い責任感に駆られた彼は何かを記憶に残そうと舞台で舞っている女性を見つめた。