【忍たま】魔界之小路先生が通販で失敗したことから始まるお話 ③ (ページ14)

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連れ去られた人がなぜ戻ってこないのか、何が起こっているのか

その様子が当時の人には分からなかった。連れ去られたきり戻ってこないのだから、伝える人がいないのは当然なのだが。

誰もが、自分が連れていかれてもおかしくはないという恐怖を抱きながら日々生活していた。

そんな中、かつてないほどの大嵐がその土地にいる人々を襲った。

「この嵐さえ切り抜ければ…ここから抜け出せるかもしれない」

とらわれた人の見張りもままならないほどの嵐の中、まだ命が残っていた人が嵐の騒ぎに紛れて権力者達のもとから命からがら逃げ出した。

そして何とか自分の元いた村へと帰還したのだ。

「お前ｯ…無事だったのか…！」

「私は嵐の隙にここまで来られました…

しかし、他の皆がｯ＿＿＿」

その人は、とらわれた村人が辿った残酷な結末を伝えた。とらわれた者の家族や残された村人は悲しみに明け暮れたが、今のうちにと、嵐が過ぎてすぐに村から避難することにした。

死んでしまった仲間の分まで生きよう。そのためにも、どんな人からも自らの身を守れる強い人間になろう。

その願いを込めて、人々は馬酔木の花が咲くところに祠をつくり、新たな生活を決意した。

するといつからか、不思議な能力を持つものが増えていった。

水を操る者

風を操る者

炎を操る者

動物との意思疎通ができる者

徐々に能力の数も増えていき、さらにそれは訓練を行うことで磨かれることが分かった。

突然連れ去られ、拷問により命を落とした人々の無念

生き残った人々の“仲間を忘れず、己を強くする”という強い願い

それらが結びついた結果が能力として現れたのだった。

なぜ、馬酔木の花がある所に祠を建てたのか。

一つは、馬酔木には毒があることから、他の植物が動物に食べられている中でも生き残り、咲き続けていることが多かった。

その生命力の強さや護身の術を我々も見習おう、という思いから。

もう一つは、花言葉である「犠牲」「献身」

いつだって、犠牲になった仲間のことは忘れてはならない。

ここにいる皆で助け合って、誰かのために尽くせる献身的な人になろう。

馬酔木の花言葉そのものをこの一族の人間性に反映させるため。

そして、その血筋を引く者は「アセビの一族」と呼ばれるようになった。