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「あの、魔界之小路さん、でお間違いないでしょうか?」
「はいはい、そうですよ」
伝票に書かれてある名前を呼んだところ、20代後半?くらいの若い男性が出てきた。なんとも軽々とした返事だ。
せっかく来たんだし上がっていってと部屋の中に通された。部屋は特に変わったつくりはなさそうだが、強いて言えば「これ何に使うの…?」みたいなものがたくさん置いてあった。
魔「見たこと無い顔ですが…どうされたんですか?」
あんたの通販でここまで来たんだよ…!と言いそうなのを我慢して、Aは事情を説明した。
魔「なるほど…どうやら私、またも通販で失敗してしまったようです」
「…ということは」
魔「お部屋か庭にお花を飾ろうと思って、雑誌を見ていたらきれいな馬酔木の花があったんでそれを注文したつもりなのですが…木という字を書くのを忘れてしまったようですね」
ほらああぁぁぁぁだから言ったじゃああぁぁぁん
Aの予想、的中。
そして、ある重大なことに気が付く。
「あの…もしかして私、もうお届け物(人)としてここにいなければならないんでしょうか?」
魔「…あ」
…今度こそ村とはお別れのようだ。幸いにも命はある、定期的に村へ手紙を送ろう。
と思案していたのだが、
魔「ん〜でもそれはまずいなぁ。間違えたのは私ですし、さすがに人の宅配はちょっとねぇ。君にだって家族や友達はいるんでしょう?」
またもAの杞憂に過ぎないようだ。ああ、なんて良心的な方なんだろう…だったら最初から間違えないでほしかったけど。
「まぁでももう少しゆっくりしていきなよ」と言われ、せっかくなのでその人とお話をすることになった。どうやらその人は最近この城に赴任した新人のようで、新人ながらある新しい試みを任されているようだった。
「…忍術教室?」
魔「そう。この城には忍者隊という組織があるんだけどいかんせんポンコツ揃いでね。忍術教室を作って優秀な忍者を育てようということになっているんだ」
「へぇ…それ、私に言っちゃって大丈夫なんですか?」
魔「本当はおおっぴらに言えないんだけど、どうも生徒が募らなくてね。勧誘のつもりはないんだけど、君にこうやって話しているのは一途の望みみたいなものさ。」
まぁ君が周りに言わなければ問題ないよ、と付け足した。
その様子から深刻そうにはあまり見えないが、なんだか気の毒に思えてきた。急にこんな任務を任されて失敗するかもしれないだなんて…
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乃花おむ子(プロフ) - いちごもんすたーさん» わわわ!ありがとうございます!お互い頑張りましょう……! (2021年9月14日 6時) (レス) id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
いちごもんすたー(プロフ) - コメントありがとうございます…!今乃花おむ子さんの作品も途中までですが拝読しているところです!これからも更新がんばります!! (2021年9月13日 23時) (レス) id: c5f21f47da (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - テンポ良くて読みやすいのでサクサク読んでしまった……!更新楽しみにしてます、無理のないように頑張ってください!! (2021年9月13日 17時) (レス) id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
いちごもんすたー(プロフ) - 秋産まれさん» コメントありがとうございます…!すごく励みになります! (2021年9月4日 12時) (レス) id: 9d6884059d (このIDを非表示/違反報告)
秋産まれ(プロフ) - 面白いです! (2021年9月4日 7時) (レス) id: b236fc8679 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮生 | 作成日時:2021年8月30日 15時