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姉 ページ11
休日の午前、茹だるほどの暑さにくらりとくる。
コンビニエンスストアでアイスを買って家まで帰る。
ようやく今日から夏休み。
ソーダ味の氷の塊が乾いた体に夏を知らせる。
私だけ。
今、この蝉の音が轟く住宅街は私だけだから。
って。
「あー、おったおった！Aちゃん」
後ろからの声にビクリと震える。
ああ、なんだ、宮さんだ。
「こんにちは…」
俯いていれば、さらりと髪を撫であげられる。
宮さんだ…。
「帰りなん？」
「え、まぁ…」
宮さんは面白そうに私を眺めたあと、
「ちょっとゴメンな」
と言って私の腕を掴み、屈むと
「へっ、あ、なに、して…」
私のアイスの棒を摘む指をぺろりと舐めた。
それ。
「ん、あぁ、溶けとったから」
熱くて熱くて、溶けちゃいそうなくらいの。
「ボーッとしとったらぜぇんぶ盗られてまうで」
それが、酷く鮮明。
「ずるい人…」
悪いひと。
「何か言うた？」
「いいえ」
お姉ちゃんだけじゃなく私も。
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