陰（閲覧注意） ページ9
入ってそうそう何か投げられた。
避けることが出来なくて目を瞑ったら膝が少しスースーした。
金属特有の甲高く転がる音。
平べったく凹凸に空いた穴が目立つ刃。
カミソリ。
膝からぽとりと血が垂れた。
何を考えているのかよくわからない、だって。
だって悪口か何かだと思った。
だって、こんな、
「庵野さんさぁ、オーケーされたんなら言ってよね」
「ごめんなさい」
向けられているのは刃、酷く冷たい視線の。
「ウチらがタイミング作ってやったんだよ、感謝してよ」
「ごめんなさい」
どうしたらいいのか。
「どうせアンタも侑君のこと好きだったんでしょ？はぁ、侑も可哀想だね、彼女がこんなメンヘラだと、さ」
彼女は私の手にカミソリの刃を握らせた。
第2関節の下あたり、握りこまれるその凶器。
「イキんないでよね」
私の手を包み込むとぎゅうっと押し込んだ。
あまりの痛さに息が荒くなり蹲った。
目を開けた頃、ジクジクと痛む指の傷。
薬指は血の温さにピク、と痙攣した。
まだ死んでいないけれど、これが毎日続くのでは、と思えば鬱が始まって。
どうしようもない感情が交差していく。
身の程知らずの恋心がゆっくりと芽を出していった。
この状況でもまだ別れたくはない、仮でもいいから、なんて差し出がましいその心理。
どうしたらいいのか、私は初めての感情に狼狽えた。
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いぬお(プロフ) - sleetさん» ありがとうございます！中途半端に終わらせたので不安だったんですけど、ほっとしました、コメントありがとうございます！ (2020年3月9日 17時) (
レス) id: 6790399aa0 (このIDを非表示/違反報告)
sleet - 面白かったです (2020年3月9日 17時) (レス) id: 428c889214 (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - ねこまるさん» ｴｯｯｱｯｯ、ありがとうございます！！ (2020年3月4日 16時) (レス) id: 6790399aa0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこまる - え、、、すき、、、！！ (2020年3月4日 15時) (レス) id: 56e58c5a6d (このIDを非表示/違反報告)
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