恒例行事 ページ9
お酒を飲む気はなかったので何故かホストクラブにホストを指名せず、観音坂さんとハゲの愚痴を言っていた。
うん、わかってる、こういうことするところじゃねーだろ！？
普通にホストクラブはお金持ちのオバサマ方が愛されないから、とかいう理由でやってくるんだ、と母から聞いた。
そして父は言ってはいけないだろうが元ホストで、結婚してから田舎に行ったらしい。
だから我が家族はディビジョン、クソド田舎ということになる。
父のおかげで私が美形に産まれたといっても過言では、いいや言い過ぎた。
さて、彼はもう両手に花か、と言ってもいいくらい隣に美女連れてんだ。
凄いなイケメンは。
色々と迷ったし、前の金色夜叉ホスト君を指名してお話をした。
そこまで高くないし、コミュ力といいますか、お話が面白いし。
二人で楽しく話していた。
観音坂さんは寝たっぽい。
「ああそうだ」
そう言うと、私をグイッと引き寄せて囁いてくる金色夜叉ホスト君。
「僕、来週、ホスト辞めるんです」
それだけ言ってクスクス笑った。
彼の首飾りに光る指輪が多分、本当に辞めるんだ、と言うことを感じさせた。
幸せになるんだ、なんて。
笑って、目を伏せる瞬間、ほんのちょっと。
彼、一二三と目があった。
その、光を通さないような視線に背筋が冷たくなって、濡れたことに気付いた。
「え？」
ほら観音坂さんもギョッとしてるじゃん。
どうやら此処でいい雰囲気になるとシャンパンを掛けられるらしい。
かけたのはしないだろうと思っていた金色夜叉ホスト君だった。
そして今日もまたシャンパンシャワーを浴びた。
オバサマ、美女達は「ヤダ〜」と言って他のホストににじり寄った。
私だってやだよこんにゃろー！！
目を上げた先、彼は何も言わないでタオルを私にかけると他の女を相手にして、離れていった。
そんなことは、初めてだったから。
目も合わせずに、離れていくなんて、今まで、今まで無かったから。
動揺と悲しさで何かが溢れた。
心配そうに笑う、観音坂さん。
心に詰まる何かが私に挟まって。
くしゃみをした。
あー、風邪、引いたかも。
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ゆる - 面白かったです！！完結おめでとうございます！！ (2020年8月7日 9時) (
レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - 名有りさん» ありがとうございます！励みです！ (2019年11月18日 16時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
名有り - 凄い好きです！！！応援してます！ (2019年11月18日 7時) (レス) id: 866a33e64d (このIDを非表示/違反報告)
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