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ななかいのうるさいと、筈だったこと ページ7

その日も義勇と一緒だった。
時の流れは本当に早くて。

菓子の日から一年ほど経った。
それでも関係は変わらない。

貴方は変化を求めない。


義勇と月を見ていた時だった。


鬼が飛び出して来て、それを斬ったとき、羽織から銀色のものが


ぽとりと落ちた。



銀色に、青い紐。


鍵だと、その筈だと、すぐに理解はできた。

義勇はそれを拾うとすぐに自分の懐に入れた。



私は、視界が滲むのを止められなかった。



「杏子さんの、家の、鍵、もらったの」


義勇は座るとそうだ、と答える。


「つい最近だ」




もう、声を聞くだけで嫉妬でどうにかなりそうだった。


私がどれだけ義勇のことを好きだかなんて知らないで。
毎日毎日自慢してくるお隣さん。


何が無愛想だ、何が冷たいだ、何が何が、


恋人、恋人になったでしょう、義勇から告白したのでしょう、何が不満なの
それ以上何を求めるのよ


でもそれはいつのまにか不満ではなくて、失われる感覚に変わった。
だって



「じゃあ、もう、ここ、来なくていいじゃん」


義勇は目を伏せて言った。




「ひとりだ」


「アイツの部屋に言ってもひとりだ」



そうやって微笑んだ。
何それ、何それずるいよ、でもね、


「どうせお前もひとりだろう、なにが不満なんだ」


私だってひとりだよ、


ずっとずっとひとりだよ


我慢したんだよそれでも。


好きで、好きでたまらないのに。



自分がどうこうなんて言える立場じゃないのに。




「私も、ひとりだよ、義勇が、杏子さんのとこ、行っちゃったら」


その途端にボロボロと溢れる涙。


頬をびしょびしょに濡らしていく。



「ばーかばーか、帰ってよ、もう、出禁、出禁なんだから…」


こんなこと、言いたかった訳じゃない。
なのに口走ってしまう言い訳、戯言、暴言。




自分を守りたいだけの言葉。


本当を隠して続けられる言葉。



これ以上素直になれば壊れてしまう。




義勇を無理矢理に追い出してひとりの玄関で踞る。


「ひとりだよ…」



寂しいって言えたらどんなに楽だろうか。


どんなに

はちかいのうるさい→←ろっかいのうるさい



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いぬお(プロフ) - なつさん» 半狂乱で書いたので…私の話はだいたいおかしくて意味不明なのでその際は閲覧を控えて頂けると幸いです…そのうち書き直したいんですけどねぇ… (2020年3月10日 20時) (レス) id: 6790399aa0 (このIDを非表示/違反報告)
なつ - ?よくわからない話 (2020年3月10日 19時) (レス) id: dedc8a99d2 (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - めろんさん» ありがちょございます… (2019年10月28日 1時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - とても心に染みるお話でした。最後、ぶわっと鳥肌が立って、目頭が熱くなりました。素敵なおはなしありがとうございました! (2019年10月28日 0時) (レス) id: 95ecc4c788 (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - 禰豆子は神(°-°)さん» 更新遅めになるかも…ありがと… (2019年10月19日 21時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いぬお | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年10月19日 0時

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