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ごかいのうるさい ページ5

黙って義勇に近付く。
義勇の寝息はすぅ、すぅ、と穏やかで。

黙っていたら本当に綺麗なのだ。

女の私が嫉妬するほど。


鍋を片付けて、もう一度義勇の顔を覗く。
本当に綺麗だ。



「あ」


義勇の目に髪が入りそうになってそれをどかす。

義勇は顔をしかめながら私の手を掴む。

それにビックリして腰を抜かした。
それでも私は義勇を見るのをやめなかった。
どきん、となる心臓にうるさいうるさいと言い聞かせながら。




すると義勇がふ、と微笑んで


「杏子」

と呟いた。



私は手を振り払いたくなってそっぽを向いた。

手は、やっぱり握られていて。


にぎにぎ、と触れられることに嫌気がさした。



やだ、やだ、と。




杏子さんは。

杏子さんはこうやって触れられているんでしょ。
義勇に。

私が何度も何度も思いを伝えようとしても届かなかった義勇に。




義勇に。




嫌だ、嫌だ、嫌だよ。









目が熱くなってボロボロと涙が溢れた。
止まらなかった。




そしたらその涙は義勇の頬っぺたに落っこちて。
義勇は慌てて目を覚まして私を見た。



義勇はいつものように私に、泣くと不細工になる、と言葉をかけてきたけれど。

私はずっと泣いていた。



義勇は私が泣くのをあまり見たことが無いせいか、私をどうしたら良いのかと見ていた。



「見てばっかり」


そういうと、びくり、と動いて私に触れようとする。

だけど、また、その手を引っ込めた。




また





まただ。


隣で扉を開ける音が聞こえた。

私は黙っていた。



義勇は立ち上がると外に出ていった。



そしてすぐ戻ってきて。


「目が腫れる」



それだけ言って私の目を冷たい手拭いでごしごしと擦った。




「杏子さん、帰ってきた」



そう言えばさっきよりもぐっと強く擦って




「だから何だ」



私を見つめた。




あぁ、義勇、そういうところよ



「前よりも不細工だ」



「うるせぇばーか」




義勇はその晩、どこにも行かずに私を抱き締めた。
それが嬉しかった。





「ぎゆくん結婚しよ!」



「俺が結婚するとAがひとりになるから、ごめんね」



そうやって笑う義勇の面影が、と思うと、嬉しかった。


義勇、やっぱり好きだ。

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いぬお(プロフ) - なつさん» 半狂乱で書いたので…私の話はだいたいおかしくて意味不明なのでその際は閲覧を控えて頂けると幸いです…そのうち書き直したいんですけどねぇ… (2020年3月10日 20時) (レス) id: 6790399aa0 (このIDを非表示/違反報告)
なつ - ?よくわからない話 (2020年3月10日 19時) (レス) id: dedc8a99d2 (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - めろんさん» ありがちょございます… (2019年10月28日 1時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - とても心に染みるお話でした。最後、ぶわっと鳥肌が立って、目頭が熱くなりました。素敵なおはなしありがとうございました! (2019年10月28日 0時) (レス) id: 95ecc4c788 (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - 禰豆子は神(°-°)さん» 更新遅めになるかも…ありがと… (2019年10月19日 21時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いぬお | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年10月19日 0時

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