5_ ページ5
小柄な男性が立ち上がり、天と書かれた紙をめくりあげ私を確認した。
可愛い系と思わせての三白眼か、やるな私の夢
「せやで、なんか見つけてん」
そのゾムさんの言葉に少し部屋がざわつく。その説明は端的すぎる。『なんか』ってなんだ？
しかし、反応を見る限りこの部屋の人たちは私の予想とは違う点に驚いていたらしい。
「…こんなどこにでもいそうな女の子がこの城に入り込むとはなぁ。」
感心したように煙草の煙を吐き出しながら、眼鏡をかけた男性
「大先生がどっかで情報漏らしたんちゃう？」
意地悪な顔をして隣を肘でつつくニット帽を被った男性
「いや、コイツは大先生が饒舌になるほどの好みの子やない！」
渋い顔でこちらを見てくる短髪で金髪の男
オイオイ失礼だな！と顔をしかめたが(そしてこの瞬間ゾムさんが吹き出した)、それよりも気になるワードがあった。
「エッ？シロって？王様の城？」
この一言により部屋は突如シンとする。
「……ですか？」
思わずタメ口になった事に気付き訂正したが、問題はそこではないようだ。
「…マジで言っとう？」
下がり気味の眉をさらに困ったように下げて大先生と言われた男性が聞いてくる。
そうなんですよ。
「捕まえてからずっとこんな感じやねん、グルッペンのことも知らんみたいやったし」
「…ヤク中の戯言やろ」
静寂の中ゾムさんがそう答えた後すぐに、糸目の男性が深緑色の瞳をのぞかせながら、バスンと言葉を発した。
一言なのに、
初対面なのに、
その人の言葉には迫力と圧、あと少しの「この時間の無価値さ」を訴える気怠さがあった。
先ほどゾムさんにも似たようなことを言われたが、言葉の重さとその目の鋭さに体が思わず竦む。
同時にそれまであった「お茶会」のような空気だった部屋の温度が急速に冷えていくのを感じた。私のことなんて、『どうでもいい』。緊急招集のワケを早く教えろと、何人かの幹部が言葉に出さず、顔に出さずに伝えてきている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 814人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Aya(プロフ) - ボマー！？お前性格イケメンかよ！？多分任務失敗したら消されるからの自爆だろ!!!任務より自分の気に入った相手優先とかヤバい(途中までしか見てない人の勝手な感想) (2021年6月8日 3時) (
レス) id: b462e5db2b (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - ROM専さん» 勢いの良さに笑っちゃいました…！ありがとうございます（？） (2019年9月26日 7時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
ROM専(プロフ) - mnちゃああああああああああ (2019年9月25日 20時) (レス) id: 19a3a955e7 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - にーたさん» 周りに説明する時は丁寧だけど胸中ではズバッと決まってそうなのでこういう表現にしました！色々考えた結果の文字数なので刺さったなら嬉しいです！コメありがとうございました！ (2019年9月22日 10時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
にーた(プロフ) - 46の一文に痺れました。語らないでズバッと切るところが最高にカッコいいです。 (2019年9月21日 23時) (レス) id: 8f97026b0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：燕
| 作成日時：2019年8月23日 19時
