＊2＊ ページ9
外に出ると暑さは少し和らいでてホッとする。
運転席に乗ったお姉ちゃんに運転できなくてごめんねって謝ると、それはいいからって言いながらちらっと流し見てくる。
「Aさ、もっと要領よくやりなよ？お姉ちゃんは心配だわ」
「え‥‥？」
「バレてないと思ってた？」
えっと‥
「私の眼は誤魔化せないわよ。で？彼氏なの？」
「‥‥何が？」
「あら、まだとぼける気？」
その観察眼が恐ろしい。
だから‥‥余計なことは言わない方がいいよね？
「どんな人なの？」
「‥‥何のこと？」
もはやいること前提で話すのやめてほしい。
こうなるとお姉ちゃん、しつこいんだよね。どうしよう。
どうやって切り抜けようと困っていたら、
「‥‥っ！！」
このタイミングでまた震え出すスマホ。万事休す。
「‥‥鳴ってるんじゃない？出ないの？」
「あ‥‥うん、‥‥‥大丈夫」
「あら、出られない相手なわけ？」
「‥‥そんなことないけど‥」
じゃあ気にせず出たらいいじゃない？って疑惑の目を向けられて、
しぶしぶスマホを取り出すと‥‥やっぱり智くん。
音量を最大限に下げながら通話ボタンを押す。
「‥‥はい」
『あ、出た(笑)仕事だった？』
「あ、いえ。‥‥今、実家にいて」
『あぁ、そうだったんだ。ごめんね、んな時に』
「いえ‥‥。どうか、しました？」
ぼそぼそ話す私に、姉がくすくす笑ってるのが気まずい。
『‥‥‥誰か一緒？』
「‥‥姉と、買い出しに」
『‥‥‥‥Aちゃん、姉ちゃんいんの？！』
電話の向こうでちょっと大きくなった智くんの声。びっくりしてるみたい。
そう言えば、そんな話したことなかったかも。
‥‥でも、今はそこを説明している余裕はないの。
一刻も早く要件を聞いて電話を切らないと。
「はい。‥‥あの、何かありました？」
『‥‥あー‥‥うん、っと‥‥‥ね』
「‥‥？」
珍しく歯切れの悪い智くん。
どうしたんだろう？
お姉ちゃんの視線を感じるけど、智くんの様子も気になって言葉を待つ。
ややして、
『‥‥‥明日‥さ。会えない？』
ボソッと聞こえた言葉。低温の響きに胸がきゅんとして一瞬息が止まる。
ダメかなぁ？って伺うような声に、慌てて口を開いた。
「えっと‥、お昼過ぎなら戻ってると思います」
『ほんと？んじゃ、家行ってんね？』
え？明日、会えるの？
どうしよう‥‥うれしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ki-bou | 作成日時：2022年1月9日 1時
