＊6＊ ページ34
「ま、そんなところも好きだけどね」
「‥‥‥ッ！！」
「ンフフッ、好きだよ」
息の根止めるつもりですか！！
そうやって突然爆弾落とすから、もう心臓がドキドキし過ぎて苦しい。
ふわふわの笑顔で、優しい目で、いつだって私の気持ちをさらっていくんだから。
Aちゃんは？ってじっと見てくるから、うわごとのように呟いてた。
「‥‥すき‥‥です。‥大好き」
‥‥うわっ、顔熱い！
気持ちが溢れてきてつい零れたけど、なんだかすごくテレる。
智くんがフフッてちょっとくすぐったそうに笑う。
そっと顔を覗き見たら、優しい目をしてた。
はずなのに。
あれ？
口角がにやーって上がって、ちょっといたずらっ子みたいな表情になった。
え、なに？ドッキリ？
「その言葉もう取り消しとかナシね。ちゃんと聞いたし、俺もそのつもりないから」
「‥‥え？」
「おんなじ気持ちなんだったら、離れること考えなくてよくね？」
「‥‥‥」
ええっ？！そんな簡単なもの？
素直に頷けない私。
智くんは小さく息を吐き出すと、やっぱガンコやって呟いた。
「それ、うれしくねぇな」
「‥‥」
「俺もいい大人だよ？周りからなんか言われても、自分の意志通せるくらいにはなってきたと思ってっけど。‥‥まあこんなだし、頼りねぇ？」
そんなことない！ってぶんぶん首を振る。
智くんを頼りないなんて思ったこと、一回もないよ！
穏やかで何でも受け入れてくれそうだけど、自分の意にそぐわないことは断るのも知ってる。
受け入れる範囲は広そうだけど。
「‥‥じゃあさ。これからもずっとそばにいるって約束して」
「‥‥やくそく‥？」
「ん。約束」
顔を向けると、智くんがじっと見ていた。
「‥‥いいの？」
「えっ、ダメなの？‥‥まだ信じらんない？」
「ううんっ！‥‥あの‥うれしい‥‥」
「んふふ‥‥俺も」
握った両手をフリフリして、ふわふわの笑顔で、
「がんばってくんね」
そう言うと、優しいキスをくれた。
がんばるってなにを？
聞きたいけど、何度も触れる唇に意識を持っていかれて、
そのうちなにも考えられなくなった。
「約束、ぜってぇ守るから」
眠りに落ちる瞬間、そう聞こえた気がした。
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作者名：ki-bou | 作成日時：2022年1月9日 1時
