＊4＊ ページ32
「どんなこと‥‥‥やっぱりいいです」
ニヤニヤしてるから、素直に聞けない。
言っていいよって笑う智くんを信じてないわけじゃないの。
だって、そんなにすぐ人間変われない。‥‥って、私ひねくれてる？
「Aちゃんことだよ。それ以外なくね？」
「‥‥‥由紀さんは素敵な方で、話題も豊富なので‥‥分からないです」
「やっぱかわえーねぇ(笑)‥‥あいっ」
ポンって渡されたのは智くんのスマホ。
画面には‥‥私？！
これ‥‥和さんと話してるところ？？
‥‥‥由紀さん。いつの間に！？
そしてよりによって、なんでこの写真。
さっき、智くんも気にしてるって言ってたのにッ。
「‥‥あ、あの‥‥これは」
「ね？スゲェよね。‥‥しかもこれさ」
「‥‥‥モテモテ‥‥って、え、ナニコレ‥‥由紀さん」
メッセージ画面には由紀さんからのコメント。
絵文字はかわいいのに、内容はかわいくない。
「こんなん送ってきてさ、俺にもっとがんばれって言うわけ(笑)」
「‥‥‥由紀さんがごめんなさい」
「んふふっ。イヤじゃねぇよ？うれしいじゃん、Aちゃんこと大事にしてんだなぁって」
スマホを受け取って見返しながら、そう言ってくれる智くん。
しばらく眺めて、それをテーブルに置くと、
「俺ももっと大事にしたいって思うじゃん」
「‥‥‥‥」
視線はスマホにむけたまま、ポツンと呟いた。
どうしよう。今日、すごくうれしい言葉をもらっちゃった。
智くんはちらっとこっちを見ると、額を手のひらで擦って下を向いた。
ちょっと耳が赤くなってる。
「‥‥今も、してもらってますよ。‥‥もう十分過ぎるくらい」
「欲がないねぇ」
「そんなこと‥‥、だって‥‥‥智くんがいてくれるだけで、うれしいから」
「‥‥‥またぁ、んなこと俺以外に言っちゃダメだかんね」
「言わないです。智くんだけ」
だって、智くん以外にはこんな風に思えないもの。
拗ねたりやきもち焼いたり、うれしかったりするのも全部、智くんだから。
側にいてくれるだけで、全部包まれてるような温かさがあるの。
それって、もう大事にしてもらってるってコトでしょ？
「‥‥んっとに、もう！俺をどうしたいの？」
「え、‥‥どうもしないです。どうにもできない」
「‥テンネンコアクマめ」
何か呟いてテーブルに突っ伏した智くん。
変な事言っちゃった？
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作者名：ki-bou | 作成日時：2022年1月9日 1時
