友だち以上元カレ未満【mfmf】

エピローグ ページ40

だんだんと大きくなったお腹に、やっと落ち着いたつわり。





重くなる体重に、初めての体重管理。

食べていないと気持ち悪かった時期のおかげで、産院の先生によく怒られたものだ。








つわりが酷くなりすぎる前にと引っ越したこの家の新居臭さというのだろうか。

あれが一番キツかったなぁ…

嗅がないようにと集中してもいやでも鼻腔を通り抜けてくるんだもの。




何とかしようとうすら寒い中換気し続けて、探し回ってやっと見つけた気持ち悪くならないルームフレグランスをそこら中にばらまいた。



子持ちの友人にアドバイスを求めようと連絡しても、「耐えろ」「頑張れ」「欲しいものあったら言って、すぐに行くから」


と、根性論と持ち前の頼りある返答に何度もお世話になった。





一緒に連れてきた2歳になる友人の子に、「ちびちゃんもママのお腹にこんな風にいたんだよ」って


言ったところでまだわかんないかぁって、2人で笑ったなぁ。






私の宝物も、あんな風に元気に走り回るのが待ち遠しい。







『おなかすいたぁ…おやつあったっけ…』







冷蔵庫にヨーグルトがあったことを思い出し、座面が広いものに買い替えたソファから起き上がろうと、ふと時計を見る。






『うわ…食べちゃだめな時間だ…』







食べる時間と量を決めましょう！


くっそぉ…産婦人科の先生と相談したのだ。

体重増加防止のために食べるおやつも時間も決まってしまった。

小腹が空いたとてこの子のために健康体で居なくてはならない。






『あとちょっと…あとちょっとで夕飯だから我慢…』






一人きりの家が嫌に静かで、スマホから音楽を流す。





かつて、ただの恋人だった彼の歌声を。





お腹の子にも、沢山聴かせてあげたい。

彼の血が半分、彼の音楽が大好きな私の血がもう半分。

きっとこの子も音楽が好きな子になるんだろうな。









撫でつけたお腹の内側で、ぽこん、ぽこんと蹴っているのは

音楽に乗っているのかな？

















「ただいまー！！」


『あ、おかえりー＿＿＿＿＿＿＿＿

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