37日目 ページ38
そういえば、最後に生理が来たのはいつだっけと
生理管理アプリを起動する。
いつもだったらカレンダーの今月の頭辺りまで生理期間を示すアイコンが出ているのに表示されない。
生理用予定日予測からは、大幅に3週間が過ぎていた。
「え、ねぇA、本当に生理来てない？」
『うん…』
「そっかぁ…」
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
曲がりなりにも別れているのに。
私のお腹に、私たちの赤ちゃんが宿っているかもしれない。
『でも遅れてるだけかもしれないし、明日検査薬使ってみるよ』
「そう、だよね。うん分かった。今日はもう安静に寝ようか。もう吐き気大丈夫？」
『まだ気持ち悪いけど…寝ちゃえば大丈夫』
「そっか、お香焚く？」
まふくんが枕元のお香に手を伸ばして、選んでいいよと何種類か差し出してくれた。
じわり、嫌な予感がする。
これは多分だめなやつだ。
確かめるようにゆっくりと、お香の蓋を開けた。
この予感が杞憂であると信じて。
『っ、ごめ、お香いらない』
「えっ、ぁ…匂い、無理？」
こくこくと何度も首を縦に振って、まふくんの胸に押し付けるようにお香を返す。
あぁ、今日もその胸に顔をうずめて眠るつもりだったのに。
匂い移っちゃったかな。そんなことも気にしていられない。
どくどく胸の内側が打ち付けられる。気持ち悪い。
ほんの数日前まではお気に入りだったはずのそれも、何かがこみ上げてくるような異臭に感じてしまう。
あぁ、まふくんと選んだものだったのに。
「ごめんね、配慮足りなかった。おいで」
寝転がって広げられる腕に、ぎゅうっと縋り付くと、変わり始めた私の体はようやっと安心したように安定した呼吸を取り戻した。
『ごめんね、まふくん。お話の途中だったのに』
「いいよ、明日またゆっくり聞かせて？Aの気持ち」
そう微笑んでくれるまふくんの瞳の中には、不安が揺らめいている。
きっと私も同じ目をしているんだろうなぁ。
もし、もし本当に私にまふくんと私の赤ちゃんがいるのなら
まふくんはこの子の父親になってくれるんだろうか。
まだ好きだと言ってくれたまふくんを、こんな形で縛り付けていいんだろうか。
産まないなんてことは絶対にないけれど、まふくんはこんなことは望んでいないというだろうか。
ぼんやりと悩みながら頭を滑る大きな手に
ゆっくりと意識を手放した。
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宵闇 ルア(プロフ) - もう一回見てみたんですけど、最後のかつて彼氏だった彼の声のところの後に出てきた人はまふくんじゃないかなって思ってます (2023年1月8日 22時) (
レス) @page41 id: d7473b096e (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - 見つけてくださって、ここまで見守ってくださって、本当にありがとうございました！思い出した頃にまた振り返っていただけたら嬉しいです！ (2022年12月6日 23時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
Ruriyuri - 私いろいろな界隈の小説を読んでいるのですが、とても久しぶりに心に来る小説を見付けました。本当に珍しいことでこのような小説に出会えてとても嬉しいです。とても感動しました。 (2022年12月5日 21時) (レス) @page41 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - おみさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました！泣かせるぞ〜！と思って書いてたので、本望です笑ありがとうございました！ (2022年12月1日 1時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
おみ(プロフ) - 完結おめでとうございます！すごい泣きながら読みました (2022年11月30日 22時) (レス) @page41 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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