34日目 ページ35
頬を赤く染めたまふくんが、いつものようにベッドの天蓋を開ける。
ぺたんとベッドの上に座って両手を差し出されたら、お話ししましょうの合図。
冷蔵庫から出してきたお茶を枕元に避けて、まふくんの手を取った。
あぁ、今度こそ出ていけってお話されるのかな。
噛んでしまったこと、やっぱり良くなかったな。
感情任せに動かないようにって気を付けようと思っていたのに。
「あのね、A」
『なぁに、まふくん』
ちゃんと素直に言葉に出さなきゃ、まふくんに嫌われてしまうのに。
「僕たち、もう一緒になってから結構時間たったね」
『そうだね、もう何年目だろうね』
「大学の時からだから、えっと…あ、いやそんな話をしようとしてたんじゃなくて」
『うん…』
口ごもりながら、言いづらそうにもにょもにょと言葉を並べる。
優しいあなたは、出ていけってストレートに言えないんでしょう？
もういい加減にしてって、言えないんでしょう。
じわり、じわりとつないだ手に手汗がにじむ。
涙があふれそうだ。
つま先、指先が冷え切っているのがわかる。
肩が震える。
これは、わたしから言わなきゃ。
『まふくん、私来月には出ていくね』
「ぇ……‥？」
顔を伏せていたまふくんは、ゆっくり、ゆっくり
長い時間をかけながら顔を上げた。
口を半分空けて、目を見開いて
もう、なんて情けない顔してるのよ。
『出ていく。来月。今まで居座って迷惑かけて…』
ごめんね
そう言葉を並べようとした。
「だめ！！！」
つないでいた手をぐん、と引かれたかと思えば、そこはもうまふくんの腕の中。
「だめ、絶対にダメ。許さないから出ていくなんて」
『まふくん…？』
抱きしめる手が痛い。
後頭部を掴むように手が押し当てられ、強制的にまふくんとの距離が限りなく0になる。
『まふくん、いたい…』
「ごめん、俺うまくAのペースに合わせられなくて」
どうしたの
私と、離れるためのお話をしていたんじゃないの…？
『まふく、』
「A、勝手でごめん」
どうしてそんなに震えているの？
「〜〜〜っ愛してる！！まだ、俺の傍に居てください…っ」
あぁ、また、夢を見ているのかも
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宵闇 ルア(プロフ) - もう一回見てみたんですけど、最後のかつて彼氏だった彼の声のところの後に出てきた人はまふくんじゃないかなって思ってます (2023年1月8日 22時) (
レス) @page41 id: d7473b096e (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - 見つけてくださって、ここまで見守ってくださって、本当にありがとうございました！思い出した頃にまた振り返っていただけたら嬉しいです！ (2022年12月6日 23時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
Ruriyuri - 私いろいろな界隈の小説を読んでいるのですが、とても久しぶりに心に来る小説を見付けました。本当に珍しいことでこのような小説に出会えてとても嬉しいです。とても感動しました。 (2022年12月5日 21時) (レス) @page41 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - おみさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました！泣かせるぞ〜！と思って書いてたので、本望です笑ありがとうございました！ (2022年12月1日 1時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
おみ(プロフ) - 完結おめでとうございます！すごい泣きながら読みました (2022年11月30日 22時) (レス) @page41 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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