19日目 ページ20
ふと、頭が痛くて目が覚めた。
目を開けようとしても上手くあかなくて、きっと真っ赤に腫れ切ってしまっているのだろう。
『まふくん…？』
いつもある腕枕が無い。シーツを触ってみても私の体温しか残ってない。
『ぁ……？』
ぞくり。
背筋に嫌な電流が走り抜けた。
冷や汗が止まらない。
まふくんがいない。冷えたふとんから、居なくなってから随分と時間がたったことが読み取れる。
じわり。じくり。
心臓に毛が生えたようだ。
ぞわぞわと脈打っている。
どうして居なくなってしまったの？
どこに行ったの？
『まふくん…！』
飛び起きようとして、枕元に置かれたお茶が目に入った。
『置いてって、くれたのかな…？』
持ち上げるとすでにぬるくなったそれから滴れた水滴が
丸い小さな水たまりを作っていた。
そういえば喉が渇いている。
きっとこれを見越して置いて言ったのだろう。
先ほどまでの鳥肌が落ち着いて、じんわりと心が温かくなるのを感じていた。
パキ、ふたを開けて、2口唇を濡らすと
落ち着いてしまったのかまた少し、寂しい感覚が戻ってきてしまう。
『作業部屋、かな。』
寝室のドアを開けて、向かいの作業部屋のドアをみると、ほんのり明かりが漏れ出していた。
そうだよね、お仕事あったはずだもの。
いつもは私が起きるころになると絶対に様子を見に来てくれたのに。
…その時はまだ、私のことを好きで居てくれたからだよね。
私もよく作業部屋で
まふくんが紡ぎだしていく新しい音を聞いていた。
『もう、行っちゃだめかな』
だめだよね。
だって私はもう、まふくんの大切な人ではないから。
きっと、邪魔をしてしまう。
だからきっと私を置いて籠ってしまったんだ。
静かにドアに近づいて、両手と、額をくっつける。
目を閉じるとかすかにギターの鳴る音が聴こえる。
何度かおんなじフレーズを弾いて、確かめて
少しづつ、少しづつ、新しい音が紡がれる。
『まふくん』
ぽつりとつぶやいた名前はきっと
防音のこの部屋の中には届かない。
『好き。だよ。』
好き、でした。
『終わりにしよう。』
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宵闇 ルア(プロフ) - もう一回見てみたんですけど、最後のかつて彼氏だった彼の声のところの後に出てきた人はまふくんじゃないかなって思ってます (2023年1月8日 22時) (
レス) @page41 id: d7473b096e (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - 見つけてくださって、ここまで見守ってくださって、本当にありがとうございました！思い出した頃にまた振り返っていただけたら嬉しいです！ (2022年12月6日 23時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
Ruriyuri - 私いろいろな界隈の小説を読んでいるのですが、とても久しぶりに心に来る小説を見付けました。本当に珍しいことでこのような小説に出会えてとても嬉しいです。とても感動しました。 (2022年12月5日 21時) (レス) @page41 id: 825b0bc841 (このIDを非表示/違反報告)
涙靜(プロフ) - おみさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました！泣かせるぞ〜！と思って書いてたので、本望です笑ありがとうございました！ (2022年12月1日 1時) (レス) id: 82f86f91ed (このIDを非表示/違反報告)
おみ(プロフ) - 完結おめでとうございます！すごい泣きながら読みました (2022年11月30日 22時) (レス) @page41 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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