十二騎士達の役目 16 ページ41
皇女馬鹿その２であるティアリス。その１は言わずもなが。
執務をこなしている事も知っているし、部下に頼んでも問題ない事くらい解っている。
この女は、力量を把握した上で、自分がすべき時を見誤らない。
フィリー「ティアリス、良いの。トールお兄様が、来てくれるのは久しぶりだもの」
ティアリス「フィリー姫がそう仰るなら……」
トールと触れ合っているフィリア様は、本当に嬉しいのであろう。
第一皇女のA様は、若干垂れ目ではあるが、立ち位置上性格がトールに似始めた。女版トールと言っても過言ではない。
第二皇女のフィリア様は、幼い頃から病弱で、周囲の言動もあってか、我儘姫と呼ばれていた。今でこそ言われなくなったが、その反動なのか、騎士や兄妹には良く甘えて下さる。
第三皇女のフィオナ様は、俺にとっても年の離れた妹だ。二人の姉やトールと過ごせない日は、騎士の誰かと一緒だ。その殆どが、年齢の近いユアンであるが、ユアンが来るまでは、俺が多かった気がする。
皇女三姉妹に言える事は、贔屓目なしに美姫である。
A様は高嶺の花、フィリア様は魅了の花、フィオナ様は可憐な花と、侍従や侍女が言っていた。
ラーズ「フィリア様、本日は体調が宜しそうですね」
フィリー「はい。ティアリスの御蔭です」
ね？ と、笑いかけられたティアリスは、肩を震わせていた。
フィリー「ウェインも、最近は来てくれなかったから……」
寂しかったと言えば、その言葉に反応したティアリスが、ウェインを睨み付ける。
器用にも、フィリア様には見えない形で。
ラーズ「ティアリス……」
ティアリス「何、ラーズさ・ま？」
随分棘のある言い方だな。
ティアリスは基本、年上であっても呼び捨てで、ウェインの様な異名持ちには異名で呼ぶ。
俺自身も異名はあるが、ティアリス自身も解っているのか、そこはあえて触れていない。
ウェインの死神から始まり、カルは冷血男、アーネストは忠犬、サイードは似非神父、エルドはストーカーと、ロクな呼び方ではない。
カルを冷血男とは、何とも可笑しいが、異名である氷の皇子からきているだけだろう。
トール「そういうのは、カーティスだけで十分なんだがな……」
ティアリス「同志と一緒になさらないで下さいます？ 私はする事は穏便です」
どこが……。
小さな声で呟いたウェインの呟きを、目敏く拾うティアリスは地獄耳だ。
そういうのは、フィリア様以外にも発揮してほしいと思う。
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作者名：print11 | 作成日時：2018年11月22日 9時
