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ストンと腑に落ちたようだった。
『……そう、なんだ…理由、なくてもいいんだ…
何だ。だったら私…』
もうずっと前から不死川さんの事…
走馬灯のように不死川さんと過ごした日々が過り、
彼の顔が浮かんでくると、堪らなく会いたくなった。
『伊黒さん、ありがとうございます!』
「吹っ切れたようだな。
ならばさっさとその拙者不幸でござる顔をやめろ。不愉快だ。」
甘露寺も心配していたと思い出し怒りを始めた伊黒さんに
やっぱり蜜璃絡みなのかと久しぶりに声を出して笑わせて貰った。
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もう一度書こう。
今度は間違えない様にしっかりと宛名を書いて。
拝啓、不死川実弥様
___心からお慕いしております。
あの日と同じように文をしたためて
どうかこの想いが伝わるようにと願いを込めて雷の脚に括りつけた。
もし、あの時そのまま煉獄さんに届いていたら、どうなっていたのかな?
不死川さんの事…好きになっていたのかな?
多分、今とは違う結果になっていた。
初めはよりにもよって何で不死川さんなんだと
雷を責めたい気持ちもあった。
でも、今は___
あの日の間違いに感謝…かな。
飛んでいく雷の姿を見えなくなるまで見送った。
◇
文に記した時間まであと1時間もあるが、
私は待ち合わせの場へ向かった。
今更、来てくれないかもしれない。
でも、ずっと待たせていたから。
今度は私が貴方を想って待っていたい。
そう思ったのに…
随分離れた所からでも分かる彼の輪郭。
散々悩んでいたが、
胸の熱がどれだけ貴方を好きかを教えてくれた。
お待たせしましたと声を掛けると、
彼は私の文を突き返した。
「また間違えてンぞォ。」
『……間違いじゃないです。宛名、書いてましたよね?』
「……。」
『……不死川さん宛です。私の恋文、受け取って頂けませんか?』
反応が、怖くて。
声が震えそうになった。
でも、もう逃げない。
目を逸らさないように、彼の目を真っ直ぐ見つめた。
「……」
緊張からゴクリと唾を呑み込むと、
爽籟が飛んで来て私の肩に止まり、文を渡した。
『私に?』
「風柱初メテノ手紙」
「はァ?!」
彼はここにいるし、字が書けない筈なのに…
訳が分からないままそれを受け取ると、
待て、と文を奪おうとする手を躱し、目を通した。
そこにはお世辞にも綺麗とは言えない不格好な文字。
彼を見れば、思いっきり顔を背けられてしまった。
でも、顔を隠しても、
耳まで真っ赤になっていて、思わず笑ってしまった。
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あさひゆうひ(プロフ) - 京華さん» ナニシテンノ?おめめ心配。寝ろ寝ろ寝ろ。 (2月5日 5時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初コメント失礼致します(いやこれ何でコメントしてないの?え?読んでたよね?と困惑。バグってんの?まぁいいや←)一気読みしてしまいました。惚れてくれてる実弥イイ!笑いながら読んじゃいました。眠いのに実弥熱が沸き起こって眠れないけど寝ます。また書いて。 (2月5日 1時) (レス) @page50 id: bb9635485e (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - なおさん» 完結して随分経つ話にコメントありがとうございます!とっても嬉しいです!鴉たち頑張りましたー! (2022年7月28日 23時) (レス) id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
なお - 鴉すごっ!天才やん そしてあさひゆうひさんもこのお話を考えれるなんて天才だよー 天才過ぎてヤバイ 不死川さんたちお幸せに!! (2022年7月26日 22時) (レス) @page50 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - 環さん» 環ちゃん!久しぶり…!まさか読んでくれたとは!!!オチを書きたいだけのお話でした。コメントありがとう!とっても嬉しかったです♥ (2022年4月7日 23時) (レス) id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
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