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…はい。どーぞ。
彼の指の隙間からなんとなく見えるくらいのテレビの画面。
雄也「もー…いそがしーな、お前は。」
「いいの、」
おなかにはぎゅーって引き寄せたクッション。
私の両手は耳をふさぐのでいっぱいいっぱいで、
雄也「んなことするくらいなら変えろよ。」
「それはいや。
…ねぇ、雄也鼻こしょこしょしないで。」
さっきからずっと指で鼻の先っぽをくすぐるの、やめてください。
雄也「ん？なんかおもしれーんだもん。
こんなのさー…毎年同じよーなのばっかやってんな。」
「…うん、
でも雄也だって見ないようにしてるじゃん。」
すっごく負けず嫌いで頑固。
雄也「俺はいーの。え、まじで見る？」
「うん。」
それは彼もだけど、きっと私の方が勝ちだよね。
だから、
「ねー、ゆーや？」
雄也「…なに。」
…ほらね。
「真っ暗にしてみよっか。」
雄也「ふざけんな、だーめ。」
今、言うだろなーって顔してたくせに。
自分の家みたいに知り尽くした彼の家。
その明かりを勝手に私が真っ暗にしちゃうのも、もう毎年のことで。
雄也「おい、A。
ったくさぁ…やめろよ、ほんと毎年。」
「しー。…うるさいよ、雄也。」
雄也「なぁ、なんで俺が怒られなきゃなんねーの。」
「…」
いいや、無視しとこ。
真っ暗な暗闇の中で、
テレビの明かりに照らさらた私たち。
雄也「あ、お前びくってしたろ。」
「…うるさい。」
こんなやりとりを何回もして、
雄也「…昔行ったよな、」
「…？」
ふいに、何かを思い出したかのように彼が問いかけた。
雄也「おばけ探しに。」
「あ、うん。行ったね。
まだ真っ暗じゃなかったけどこわかったな、あの神社。」
夕方のチャイムが鳴るぎりぎりに、
なぜか内緒って約束をして行ったんだっけ。
雄也「お前途中で怖がって泣き出すし。
砂利で転んで歩けないってぐずるしさー…」
泣きじゃくる私を、おんぶして帰ってくれた雄也。
追いかけるので精一杯だった背中が、
いつもよりもっと大きくて、どんなときよりも一番遠く見えた瞬間。
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にゃん(プロフ) - かえるさん» コメントありがとうございます。雄也くんらしさって、言葉にしてしまうと冷たく感じられてしまいがちで、不器用な優しさですよね。過去編では切ないばっかりでしたが、2ではしっかりきゅんにします！笑 これからも、よろしくお願い致します。 (2017年5月4日 16時) (
レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - レイナさん» コメントありがとうございます。そとづらから引き続き読んでくださってるのがすごく嬉しかったです！なるべく頻繁に更新できるよう、頑張りますね。またいつでもコメントお待ちしております。2も、引き続きよろしくお願い致します！ (2017年5月4日 16時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - コメント失礼します。とってもキュンキュンするのに、切なくて泣いてしまって。雄也くんらしいな〜と楽しく拝見させていただいています。 これからも楽しみにしてます。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: 740f5ed62d (このIDを非表示/違反報告)
レイナ(プロフ) - そとづらだんしに引き続きあさやけだんしもダイスキな作品です！！にゃんさんのペースで更新頑張ってください！！どんなに時間経っても更新楽しみにしてます！！！がんばってください！ (2017年4月23日 19時) (レス) id: 2b8f700843 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 美咲さん» お久しぶりです。ずっと前にコメント下さっていたのに今になってしまってごめんなさい。ちょっと考えてしまうことがたくさんあったので、やっぱり頑張ろうと思えました。これからも丁寧に書いていきます。よろしくお願い致します！ (2017年4月16日 19時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃん
| 作成日時：2016年10月24日 23時
