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航平「もれちゃうもれちゃうー」
雄也「ほれみろー…頼むもーちょい我慢して!」
出店が両端にひしめく参道。
浴衣を着た人混みの中を縫うように、急かすように、
私の前を歩き進める彼の大きくて広い背中。
雄也「A、最悪俺がコウそこらへんでさせるから。」
「…うん。覚悟決めとく。」
2人してこんな会話を真剣にして、
航平「こうちゃんあれほしい!」
「うん、あとでね?」
抱っこされて、顎を彼の肩に乗せて1人だけ呑気さん。
私は後ろから背伸びをして手を伸ばして、その前髪をかきあげる。
雄也「コウお前トイレは?」
航平「もれちゃう…」
雄也「だよなぁ?おっけ、今いっそいで連れてってやるから我慢しててな。」
言葉遣いは悪いけど、暖かくてほんとは優しい彼の話し方。
やっぱり変わっていなくて、つらい。
航平「ねね、」
「…っ、すみません、」
すぐに見失いそうになる、こうちゃんの小さな手。
背の高い彼の後ろ姿。
銀に近い金色のきれいな髪。
「…も、」
…今度は、
彼のことを見失わないように。
そう思いながら必死で首をしゃんとさせて、
泣きべそをかいて頑張っても、
どうしても雄也の姿は遠くなって少しずつ見えなくなっちゃうんだよ。
…まるで、あの時みたいに。
雄也「コウ!ねーちゃんいねーぞー。」
航平「えーねねー!」
少し離れたところで私を探す声がするのを聞くと泣きそうになって、
「…ゆう、」
その声の元に届くかわからないけど、
私には人混みに押し流されながら小さく叫ぶことしかできないから。
雄也「A、!」
「…っあ、ゆうや、」
泣くな、がまん。
雄也「…ほら、手。」
「うん、」
…片手でこうちゃん抱っこするの、大変だよ?
雄也「お前っていっつも迷子になんだよなぁ、」
もう一度私の手を強く握りしめて彼が呟く。
「そんなことないよ、」
だって私はずっと足踏みばかりしていて、
いつも先に、雄也がいなくなっちゃうんだよ。
いつもいつも、あの時だって、
見失ってしまう私がいけないのか、
すぐに人混みの中にいなくなってしまう雄也のせいなのか。
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にゃん(プロフ) - かえるさん» コメントありがとうございます。雄也くんらしさって、言葉にしてしまうと冷たく感じられてしまいがちで、不器用な優しさですよね。過去編では切ないばっかりでしたが、2ではしっかりきゅんにします!笑 これからも、よろしくお願い致します。 (2017年5月4日 16時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - レイナさん» コメントありがとうございます。そとづらから引き続き読んでくださってるのがすごく嬉しかったです!なるべく頻繁に更新できるよう、頑張りますね。またいつでもコメントお待ちしております。2も、引き続きよろしくお願い致します! (2017年5月4日 16時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - コメント失礼します。とってもキュンキュンするのに、切なくて泣いてしまって。雄也くんらしいな〜と楽しく拝見させていただいています。 これからも楽しみにしてます。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: 740f5ed62d (このIDを非表示/違反報告)
レイナ(プロフ) - そとづらだんしに引き続きあさやけだんしもダイスキな作品です!!にゃんさんのペースで更新頑張ってください!!どんなに時間経っても更新楽しみにしてます!!!がんばってください! (2017年4月23日 19時) (レス) id: 2b8f700843 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 美咲さん» お久しぶりです。ずっと前にコメント下さっていたのに今になってしまってごめんなさい。ちょっと考えてしまうことがたくさんあったので、やっぱり頑張ろうと思えました。これからも丁寧に書いていきます。よろしくお願い致します! (2017年4月16日 19時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃん | 作成日時:2016年10月24日 23時