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きゅ、とその白い手は俺の手をしっかりと握った。
「この手があなたの矛に、そして盾になれることは、俺の誇りだ。この日を待ち侘びていた。」
「あなたがここにこうして立ってくれていることが、私の誇りよ。
そして私もあなたの矛であり、盾であると、覚えておいて。」
「ッ、...........。」
王女に、ね？と微笑まれてショウジは困惑したが、反論したとて聞き入れてもらえる姫でないことも解っていた。
「このショウジメゾウ。あなたの願いを叶えるため、この命を燃やすだけだ。口は挟めないな。」
目元で苦笑したショウジに、Aは大きく笑んだ。
「ありがとう、ショウジくん。」
そうして、店の奥の部屋にはショウジを含め3人の男が集まった。
「何だったんだあの青い飲み物はよ.....まじで王女様居るし.....。」
「ああ、俺も今だに信じられないよ.....。」
赤い髪を持ち上げてセットした青年と、己の体躯ほどある尾を携えた青年。どちらも屈強な闘士だった。
「あれは恐らく姫の魔力を僅かに溶かした薬湯だろう。
ほんの僅かであるために、姫やこの国に対するよほどの思い入れがない限りは普通は気付かない。
だがそれで愛国心を試したと言うよりは........」
ちらとショウジが視線をやると、それに気付いたAは口を開いた。
「ええ、試すまでもないわ。店を歩いた時にはもう決めていたの。あなたたちの"想い"は、とても強く立ち昇っていた。
だからあの飲み物はただ私に気付いてほしかっただけのものよ。」
身分を明かしたくなかったから、流石はショウジくんね、ご名答、とにっこり微笑まれてショウジ以外は面食らった。
「でも名はね、私にも見えないのよ。それはその人を存在づけるものだから。信頼できる者へ、己で明かすものなの。
私は、ハザマトキノカ。この国の王女であり、この国と歩む者。あなたたちの名を、私に聞かせてくれる？」
微笑んで王女に尋ねられ、高揚した様子で赤い髪の青年がパシ！と拳を掌に打ちつけた。
「俺はキリシマエイジ！やっぱ王女様は、俺の思った通りの人だった。この戦いに参加できること、光栄に思うッス！」
尾を少し揺らした青年も、頷きながら続けた。
「ああ、俺はオジロマシラオ。俺も、あなたと共に戦う、その夢が叶った。とても感慨深い思いだ。」
その輝く表情の面々を眺めて、Aは口元を震わせて言った。
「キリシマくん、オジロくん。本当に、ありがとう。」
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作者名：泉
| 作成日時：2023年11月12日 22時
